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【ハイキュー】 続・波長 【孤爪研磨】

第16章 釘


ー穂波sideー









「…あかん、布ん中に手、入れてまう」











そう言って侑くんは抱きしめていた腕をパッと離した。









どっくどっくと打ち付ける、侑くんの鼓動に耳を澄ませていると
なんだかとても愛おしくて、すごく安心する。

そっか、わたし飢えてたんだ、って自覚がどこからか。











「家、行ってええんやろ?連れてってや」

『…あ、うん。 お買い物してってもいい?』

「ぉん、ええよもちろん」









ぎゅーと抱きついたまま話をしていると、
侑くんの声を振動として身体で感じる。










『…何食べようね? 何食べたい?』

「わからん、精のつくもん食わせて」

『…精のつくもの …なんだろ?』










そんな話をしながらいい加減一度身体を離して、
ウェットスーツは脱いで、
水着の上からショートパンツを履いて、Tシャツを着て。

侑くんはそのまま、上からTシャツを着て。

車の座席用の防水カバーを助手席にもつけて、やっと車に乗り込む。









…なんでこんなに時間かかったんだっけ?
やっと、感がすごい。 とか思いながら、
スーパーマーケットへと車を走らせる。











「この曲はなんなん?」

『…これはね、福永くんが教えてくれたの』











日本にいる頃一度福永くんと2人で出かけた時に、
まっくらやみでにらめっこをした。

相手を想像して、
そして自分がいましていることを想像して、
そしてそれを俯瞰してみた図を想像して。

わたしたちはお互いの顔も何もみえないまま、笑い転げた。










そして先日福永くんからラインが入って。
このまっくらやみのにらめっこというアルバム名の作品を教えてもらった。

聞いてみると、とても魅力的な声の女性と男性の歌があった。
でもなんというか、妙な、不思議なバランスで。

歌詞と声と曲と。

絶妙なバランスでそこにあって、
車ではラジオを聴くことが多かったけど、
最近はBluetoothで飛ばしてこのアルバムを流してる。

そして自動的に今も流れ出して。
音小さくしようと思ったら侑くんが聴きたいって言って。
そして一曲聴いたところで先ほどの会話が、あった。













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