第44章 その琥珀糖の味は… ※R-15
向かいの部屋から甘露寺達の声がするな
風呂から戻って来たのか
思って居たよりも 早かった様だな
それにしても…だ
あれ以上 あの場であげはを
欲張って居たら
相当まずかったな…
部屋の襖に自分の背中を預けながら
杏寿郎が自分の
右手で口元を押さえつつ
聞き耳を立ててその会話に集中する
「正直…、あそこで
あれ以上欲張ってたら、
マズかったな…。
いや、あれ以上欲張ってたら…。
なりふり構わずあげはを
抱いてしまって居たかも知れんが…」
俺がこんな事だから
堪えがなさすぎるとあげはに文句を
言われてしまうのかも知れんが…
堪え…か…
あまり 熱を溜めこみ過ぎるのも
良くないのだろうか
正直な話 先程の行為の時の記憶が
邪魔をして
耳に付いた彼女の甘い声が
離れない
自分の熱がそこに集まったままなのは
杏寿郎自身も自覚しては居たのだが…
「…して…みる、…か?自分で」
俺がこうして熱を余してると知れば
また あげはの事だ 前の様に
手伝いを申し出て来るかも知れんからな
あれは…もう 勘弁して貰いたいからな
あんな気分になるのはもう懲り懲りだ
あの時の彼女にそうして貰った時に感じた
嫌悪感にも似た感情が
自分の中に湧いてくる
何故故にこれほどまでに罪悪感を憶えるのか…
自分がそうなる為に頭の中で
彼女を汚す様な
そんな気になるのは何故なんだ?
自分の硬くなって
寝巻を押し上げているその部分に
杏寿郎が右手を伸ばした
痛い程にガチガチに腫れあがった
その部分が望んでいる事が
自分でも理解出来ている
そうなりたいからだ 彼女と
吐き出した所でそれは満たされないのだから
収まりの付きようもあるまい