第43章 箱と袋の中身…
この石鹸には
ダマスクローズの香料が使われていて
そのダマスクローズの中でも
最高品質と言われている
ブルガリアンローズを使った外国製の石鹸で
ここに包みに入ったまま置いているが
それでも 私はバラですと自己主張してくる
本来なら薬の調合に使うつもりで
持って来た乳鉢だけど…
持って来て居た応急処置の道具が
一纏めにしてある
往診鞄を押し入れから取り出して
文机の前に置くと
往診鞄のファスナーを開くと
その中に入れていた乳鉢を取り出した
ごめんね乳鉢
こんな調合ならぬ 調香に使って…
あげはが文机の上に置いた筒を開くと
そこには赤味を帯びた線香が入っていて
こちらには純粋なバラの香料以外にも
白檀や伽羅も含まれているから
でもこの線香も
他の奴よりも香は良いんだけど
お値段が張るから 持ち腐れてた線香だ
全部使ってもいいかなって思ったけど
もし また杏寿郎の実家に帰る時があったら
その時に この線香はオススメなんですと
瑠火様の墓前にお供えするのもいいな
そうあげはが思い立って
筒の中に数本だけ残して
9割の高級な線香を遠慮なく
バキバキに出来るだけ細かく折ると
ごりごりと乳鉢で粉末状にして行く
ナイフを取り出して広げた懐紙の上に
ブルガリアンローズの香りの石鹸を
削り出して行く
後はこれに元からあるバラのポプリを
ブレンドしてやれば
簡単に即席のモノではあるが
和洋混合なバラの香り袋が出来上がるだろう
「ブレンドの配分は、私の鼻にって鼻!
あるじゃない、鼻が!それも私の
鼻なんかよりも、凄いのがあるじゃないの」
在る事を思い立って
あげはが炭治郎を呼びに行って
炭治郎と禰豆子を伴って戻って来る
部屋に入った途端に
「あっ、……っ」
炭治郎が声を漏らしてその口を
慌てて自分の手で塞ぐと
炭治郎が顔を真っ赤に染めてしまって
茹蛸の様な顔をしながら そのまま
恥ずかしそうに俯いてしまって
固まってしまったので
「炭治郎君?どうかしたの?」