第6章 無限列車にて 後編
猗窩座の予想だにして
居なかった言葉に
あげはが驚きつつも呆れながら
「はぁ?イキナリ…、何を言って…」
「なるべく多くだ、産めるだけな!」
そう言いつつも繰り出される拳は
避け損ねたり 捌き損ねれば
一撃で死ぬとわかる
「だから!何で、アンタにそんな事、
…言われなくちゃなんないのよ!」
「俺は、アンタじゃない。猗窩座だ」
「えっと、猗窩座君?…猗窩座さん?」
名前を聞いてどう呼べば
いいのかわからず
思わずどう呼んだらいいのか
聞き返してしまった
「俺は、猗窩座だ」
あ これは要するに
呼び捨てにしろってことか…
なんで 初対面の鬼に早く結婚して
子供をそれも沢山産めと言われ
その上 鬼に呼び捨てにしろ
とまで強要されるのか
「彼女が、君の事を呼び捨てにするなら、
俺の事も呼び捨てにするべきだ!」
2人の会話に割って入って
杏寿郎が大声で言った
今… それ言う事なのかな?
やっぱりこの人 バカな…気がする
いや なんかちょっと 天然なんじゃ…
「まぁ、猗窩座君の言うように、
私の力じゃ男の人にも…
まして鬼の力になんて勝てないのは、
十分知ってるけど…」
「わかっているなら、さっさとしろ!
なるべく強い男の子を、沢山産め!
俺の為に…な」
「お前の為かいっ!」
この鬼のことだから
そんな事かと思ったけど?
ああ わかった
コイツもバカなんだと思った
「さっきから、黙って聞いていれば。
君の物言いは女性に対して失礼だぞ?」
「そんな事より、女。
お前の名はなんて言うんだ?」
「私の名前なんて、どうでもいいじゃない。
猗窩座君は…強いんでしょ?
女は弱いって決めつけてしまう前に、
私の事…もっと見てみたらどうかしら?」
そう言って話す口調も表情も
いつもに比べて何倍にも魅惑的で
女である事をバカにされた腹いせのように
女である事を強調させて話す
「私の呼吸は、相手が強ければ
強いほど…技の威力が上がるから
…試してみる?」
そう言って見せる笑顔すらも妖艶で
フッと猗窩座が口の端を上げた
「女…、お前。面白い事を言うな。
なら、…お前の力見せてみろ!
破壊殺!空式!!」
あの技は
さっき俺に使った遠距離攻撃の技
「あげは!あの技は
離れていても攻撃が届くぞ!」