第42章 その瞳に映る物
「いいよいいよ。炭治郎君。
もう、見せたい部分は見せたから。
禰豆子ちゃんの、好きにさせたげて。
そう他の呼吸よりももっと…何だろうな
上手く言葉に出来ないけど。根源とか
そんな深い場所から来るような
そんな重みのある呼吸だなって
…それに」
禰豆子にそれを止めさせようとする
炭治郎を逆にあげはが止めて来て
好きにさせたらいいと言って来たので
禰豆子の身体に回した手の力を
炭治郎が緩めた
「んーん♪」
楽しそうにお絵かきをする
禰豆子の頭をあげはが撫でながら
言いかけていた話の続きを話し始めた
「炭治郎君がすぐに二段呼吸や
複合呼吸を使いこなせた理由が。
私の憶測の通りなのであれば…、
炭治郎君が使ってるその呼吸は…」
ギュッと炭治郎が正座をして
膝の上に置いていた手を握りしめた
「辻褄は…、
確かに合うかと思います。
俺がヒノカミ神楽を使った後に
体力を物凄く消費してしまう理由が
あげはさんの言う、
それなのだとしたら…」
クイクイっと隣から
服を引っ張られるのを感じて
炭治郎が禰豆子の方に視線を向けると
「むん!んんー♪んっ!」
禰豆子が炭治郎の方へ自慢気に
先程描いた落書きを見せて来て
それを見てあげはがハッとする
私が紙の真ん中に描いた黒い丸が
紙一杯に広がった
大きなひまわりになって居て
「むんっ!」
ずいっと禰豆子がその紙を
炭治郎へと差し出して来て
「くれるのか?
ありがとう、禰豆子。
上手に描けてるなぁ。
これは…、ひまわりの絵だな!」
その 大きな紙からはみ出しそうな程の
ひまわりは
さながら 世界を照らす
日の様であった
じっと炭治郎がその絵を眺めながら
ぼそっと漏らす様に言った
「炎の呼吸を、
ひのこきゅうと言ってはならない…」
それは 蝶屋敷で
しのぶさんから聞いた言葉だった
ひのこきゅう 俺はずっとそれは
火の呼吸の事だと思ってた ずっと
禰豆子の描いたこのひまわりの絵…
まるで太陽みたいだ