第42章 その瞳に映る物
2人を見送ると
しーんと屋敷の中が静かになる
炭治郎はふたりを宥めるのに
大声を張り上げる事はあるが
心穏やかな性分なのだ
「甘露寺、肝心の話の方が
まだ出来てなかったな。
だがその前に、俺は後もう少し、
方々に手紙を書かねばならん。
甘露寺、風呂の準備をさせているから、
整うまであげはや竈門少年と
ゆっくり過ごしてくれ。
すまないな、甘露寺。
来て貰って置きながら
何のお構いも出来ず、申し訳ないな」
「いえ、大丈夫ですから。お気遣いなく。
私も、あげはちゃんや炭治郎君と
お話したい事があったので」
「あ、そうだ、もう夜でしょ?
禰豆子ちゃんとは、蜜璃ちゃんは
会った事あるの?炭治郎君、
蜜璃ちゃんと、禰豆子ちゃんを
引き合わせてあげようよ」
「そうですね!きっと禰豆子も
甘露寺さんの事、気に入ると思います」
「禰豆子ちゃんって、あの時の
不死川さんに刺されてたあの子よね?」
ガシッとあげはが蜜璃の肩を掴んで
「ちょっと、蜜璃ちゃん。
その話…詳しく教えてくれない?
事の次第では、次に不死川君に会った時に
不死川君の事、斬るから私」
「大丈夫ですから!あげはさん、
禰豆子も、あの時の傷は
とっくに治ってますからっ。
穴の開いた箱の修理も、
アオイさんがしてくれたので」
炭治郎君の箱をアオイが修理した時
あげはが自分の記憶を探ると
思い当たる事があった
「あの時の。那田蜘蛛山の任務の後ね?
私があそこで事後処理を隠としてる時に
伝令の鎹鴉が飛んで来たけど、炭治郎君と
禰豆子ちゃんを、捕らえろって…。
てっきり、その時の戦いで出来た
傷だと思ってたのに」
「あの時、あげはちゃんも
あの山に居たんでしょ?
沢山、隊士の人が亡くなったって聞いたわ。
下弦の鬼が居たんでしょ?冨岡さんが
その鬼は切ったって聞いたけど。
あの後、炭治郎君と禰豆子ちゃんは
お館様のお屋敷に連れて来られてたの」