第42章 その瞳に映る物
「うふふふ。
そうなの。沢山食べると
身体が元気になるじゃない?
あら?箸が止まってるわよ?
炭治郎君達も、成長期なんだから、
沢山食べなくっちゃ!」
「ぬははははは!!当然だな。
俺は山の王だからな!もっと
成長してやるからな。お代わりっ」
「はい、畏まりました」
蜜璃と伊之助が差し出した
茶碗に春日がご飯を
山盛りにして盛り付けると
それぞれに茶碗を返した
夕食を済ませると
「はぁ~、俺もうお腹一杯で
動けないぃ~」
そのまま大きな腹を擦りながら
善逸が畳の上でゴロゴロと寝転がる
「ダメじゃないか!善逸。
食べてすぐに
横になると、牛になるんだぞ?」
食事を済ませてしばらくした頃に
任務だと善逸のうこぎが報せに来て
伊之助と善逸は
ここからほど近い場所まで
任務へと急遽向かう事になった
「えええ?聞いてないんですけど?
聞いてないんですけどぉおおっ!
ズルくない?炭治郎、ズルすぎっ。
何では炭治郎は一緒じゃないのーー?
どうして、俺と伊之助だけなんだよ~、
炭治郎居なかったら、誰が俺の事
守ってくれるんだよ!もうっ。
信じられない。不公平じゃない?」
「うるせぇ!紋逸。
行くぞ。つべこべ言うんじゃねぇ」
そうぶつぶつと文句を言う善逸を
伊之助が首根っこを掴んで
ズルズルと引っ張って任務へと行くのを
皆で玄関で見送る事にした
「あ、待って2人共。
切り火、してあげるから」
あげはが火打石を
その手に持っていて
「ん?あの藤の家の婆がやってたやつか?」
「ええ?いいの?やった。
あげはさんが、切り火してくれるの?」
「そうだよ。切り火は
家に残る者がする物だからね。
はい、ふたりとも、こっちに背中向けて」
あげはがそう言って
善逸と伊之助に背中を向けさせると
カチカチと火打石を打って
その火の粉を掛けた
「うむ。二人とも、
日々の鍛錬の成果を
存分に発揮してくるといい!
朗報を待っているぞ!」