第42章 その瞳に映る物
「そう、遠慮するな。春日。
君にも、色々と
気を張らせてしまったからな。
休みなさい。この羊羹は元々君に、
渡すつもりで購入した物だったんだ。
虎屋の羊羹は好物だっただろう?
ああ。最中もあるぞ?そっちも
好物だったように記憶していたが?」
「え?虎屋の羊羹と最中は確かに
私の好物にはありますが…。
その、しかし…炎柱様。
私はしがない使用人にありますので…」
急に一緒に休憩をしようと
杏寿郎から持ち掛けられて
春日はどうしたらいいのかと
戸惑っている様子だった
主と使用人が客人と共に
お茶を飲むなど本来ならあり得ないからだ
「私からも、
お願いしたいのですが。春日さん。
先程、ご迷惑をおかけした件についても。
杏寿郎にお話をして頂いた件についても、
お礼を改めて言わせて頂きたくあったので」
「あげはも
こう言ってるんだ、どうだ?春日」
あげはが春日に声を掛けて
杏寿郎が春日を促す
「ギョロギョロ目ん玉とあげるが
そう言ってるんだ。
お前も一緒に茶、飲め!イスガ!」
「私は、春日にあります。継子様」
伊之助に思い切り名前を間違えられて
春日が毅然とした態度でありながらに
少しばかり口調を強くしながら答えて来て
「すいません、春日さん、すいません。
伊之助は人の名前がちゃんと呼べないんです。
ホラ、謝れ。伊之助!失礼だろうが」
「はん、何言ってんだ、健太郎。
イスガはイスガだろうがよ!」
いつも一緒に居る炭治郎の事も
思い切り伊之助が違う名で呼んでいて
炭治郎の方もそれ気にせずに受け入れていて
思わず春日が
噴き出して笑いだしてしまっていた
「ぷっ、ふふふっ、
…ああっ、申し訳ございませんっ」
「なっ、笑うんじゃねぇよ!イスガっ。
笑った罪だ、お前も茶飲め、
んで羊羹食え。ホラ、
俺の羊羹お前にやるからよ。
好物なんだろ?イスガの」
そう言って自分が持っていた皿に
乗っていた羊羹を
伊之助が春日に差し出して来て
「遠慮すんな、お前も食え!」
受け取ろうとしない春日に
伊之助が皿をズイっと差し出して
凄むようにして言った