第42章 その瞳に映る物
「ちょっと、そんな
大きな声出さなくっていいってば!
炭治郎に言われなくても俺だって、
聞いて分かってるって!音でっ」
「甘露寺さんも、早くっ」
「ええっ、でもでもっ、ちょっとぐらいならっ」
「ダメだから、甘露寺さんも早く」
炭治郎と善逸が伊之助と蜜璃の視線を
2人の方から壁の方へ
身体ごと向き直しをさせると
あげはと杏寿郎に対して
背中を向ける様にして
4人で 壁を向いて 正座をして座った
ガラッと襖が開いて春日が戻って来て
「あら?皆様お揃いで
壁に向かって何を…って、あっ、
…そう言う事情にありましたか。
私と致しました事が、
申し訳ございませんでした」
グイっと自分の身体から杏寿郎を
あげはが両手で肩を掴んで引き剥がして
「いえ!結構です。
すいませんっ、春日さん。
こちらの方こそ、
お見苦しい所をお見せ致しまして。
後で杏寿郎さんには強く、
私の方からその、言って聞かせますので」
その2人の濃密な口付けを目撃した
春日に対してのあげはの謝罪に
「あげはさんは、そう言ってるけど。
煉獄さんは足りてないって音してるけど?
それも全然、足りてないって音」
と壁の方を向いたままで善逸が言って来て
「こらっ!よさないか!善逸。
伊之助が居るんだぞ?何てこと言うんだ!」
「俺が居たからどうなんだよ?
言ってみろよ!権八郎。
アイツらは番なんだぞ?
んなもん、当然だろうがよ!」
それに対して炭治郎が窘める様に言うと
今度はそれに対して
伊之助が不満を述べて来て
「やんっ、伊之助君たら。煉獄さんと
あげはちゃんが番だなんてっ、きっと
オシドリ夫婦になるわ~、素敵ね」
「ですが、炎柱様。人前にあられますので。
お茶が冷めてしまいますし、その辺りで…。
続きは後になさっては如何にありますか?」
そう今度は春日からも諫められてしまって
「むぅ、そうか。
…そうだな。名残惜しいが、仕方ない」
「しかしながら…杏寿郎さんには、
もう少し場を弁えて頂きたく…」