第42章 その瞳に映る物
ぐぅうううううううっ
っと 場の空気を壊すかの様にして
蜜璃の腹が大きな音を立てて鳴った
皆の視線が一気に蜜璃に集まってしまって
かぁあああっ っと
蜜璃が顔を真っ赤に染めながら
これ以上小さくなれない位に
身体を小さくして萎縮すると
気恥ずかしそうにして
自分の人差し指と人差し指を
ツンツンと合わせた
「いやぁあああん、ごめんなさいっ。
やだやだっ、私ったら。こんな時にっ。
すいません、お恥ずかしいわ。私ったら。
あげはちゃんが、
気が付いたら気が抜けちゃって…。
その、安心したら、急に
お腹が空いちゃったみたい…で」
そう弱弱しく 申し訳なさそうに
蜜璃が言って来て
「ああ。春日。俺が先程、
玄関に放って来たあれは?無事だろうか?
個別に包まれてはいるし、
形が崩れる様な物ではないが。
春日、茶を用意してくれるか?
折角だ、皆で茶でも飲んで、一息入れよう。
甘露寺、君の腹を満たせる程かは分からんが、
桜餅なら、100個程買って来てあるぞ?」
桜餅と言う大好物が杏寿郎の口から出て
蜜璃が顔を明るくさせた
「わぁ!本当ですか?煉獄さん。
桜餅100個食べてもいいのね?
やん、嬉しいわ。素敵だわ」
「いや、俺も…
その恥ずかしい限りではあるんだが。
春日に玄関の前であげはの事を聞いて。
持っていた荷物を
その場に放って来てしまったからな。
柄にもなく取り乱してしまった。
柱として不甲斐ない、限りだ。
ああ、甘露寺、袋には入ってるし、
その上に包まれてるから
中身には問題はないと思うのだが」
「えぇっ?煉獄さん、
履物履いたままだっただけじゃなくって、
荷物まで放ったらかしにして来てたの?
ちょ、それ、どんだけよ?煉獄さん、
あげはさんの事、心配し過ぎでしょ」
にわかには信じられない話だ
あの杏寿郎が…?想像が付かないんだけど
「へ?善逸君、それ本当なの?」
その話に現実味を感じる事が出来なくて
今度はあげはが善逸にそれを
確認するように問いかけた