第42章 その瞳に映る物
「恐らくに。君が気を失ったのも、
その記憶の容量が君の脳が情報を
処理しきれる限界を超えたからだ。
だから、俺は
止めろと君に言っているんだ!」
「確かに…、杏寿郎の仰っている事には
通りが通っておりますし、
理解が出来る事にありますが…ッ」
「命令だと、俺は言っているんだが?」
その杏寿郎の言葉には
あげはに有無を言わさない
プレッシャーが込められていて
ビリッとその部屋の空気が震えたのは
炭治郎にも感じ取る事が出来て
炭治郎はちらっとあげはの方を伺った
その重圧を杏寿郎が掛けている
相手であるあげはの方は
青い顔をしながら
ギュッと掛け布団をあげはが握りしめて
「畏まりました。炎柱様。ご命令に従います」
そう弱弱しい力ない声で返事を返した
「あげは、悪く思うな。俺は…君の事が…」
わなわなと掛け布団を握っている
あげはの手が細かく震えていて
キッと鋭い射るような視線を
杏寿郎に対して向けると
「その様な事まで、
皆まで言って頂かれずとも
分かっておりますから!
私が未熟であった故に、
こんな事になってしまって。
ここに居られる皆に、
ご迷惑とご心配をおかけした事は
紛れもない事実にありますので。
その事に関しては、反省を致しております」
今度は力なく返して来た杏寿郎に対して
あげはの方が威圧的な声でそう返して
「あげは、そう怒るな。
俺が言いたいのはそうではなく…だな」
「ご説明は結構にあります、
理解致しましたので」
炭治郎の鼻には色々な
二人の感情が入り乱れて嗅ぎ取れて来て
「お二人とも、止して下さい。
元を正せば全部、
俺があんな事を言いだしたのが
悪かったんです。悪いのは全部俺です!」
そう喧嘩に発展しそうなやり取りを聞いて
心苦しくなった
炭治郎が声を張り上げて来たので
「竈門少年は悪くない!」
「炭治郎君は悪くないから!」
とあげはと杏寿郎が同時に返して来て
「いや、2人…息、合いすぎでしょ?」
そう善逸が呆れつつも漏らす様に言った