第42章 その瞳に映る物
「あげは。なら、問い方を変えよう。
それは、必要な事か?必要ならば
君に必要なのか、俺に必要なのか、
それとも俺達に必要なのか…、
答えて貰おう。
俺に嘘は通じないぞ?あげは。
正直に答えて貰おう…、答えられるな?」
「ちょっと、あの~、煉獄さん?
あげはちゃんは
目が醒めたばかりなのに。
そんな事、
今無理に聞き出そうとしなくても…」
いつにない杏寿郎の様子に
蜜璃が心配をしてそう声を掛けて来ると
「いいや、甘露寺。それでは遅い。
あげはには前もって、
注意しておくぐらいで丁度いいからな。
余り暢気に構えて居たら、その内にまた
行動を起こされてしまいかねん。
だったら、こうしよう。
炎柱として、君に命じればいい。あげは。
俺の許可なしに、それを見るな。いいな?」
杏寿郎の命令だと言う言葉に
あげはが座っていた姿勢から
更に身体を持ち上げて身を乗り出すと
「なッ、杏寿郎?
それはあんまりにありませんか?
もう少し、見れば、
糸口が見えそうにありましたのに。
…って、あ!…ああっ。
杏寿郎、ズルいにありますよ!
まだ、私が半覚醒だったのを良い事に、
誘導尋問をしたのですね?酷いですよ!」
完全に頭がスッキリとしたのは
そう不満を述べる
あげはの様子を見ていれば
杏寿郎の目からも明らかにあって
「ホラ見ろ、俺の思った通りだ。
別にそれは、俺の所為でもあるまい。
だが、あげは。
それは俺が思うに危険だ。
君が、言っていた事だろう?
人の脳の記憶の仕組みについて
君から話を聞いたばかりだが?」
杏寿郎が腕組みをしたままで
明らかに誰が見ても取れる程に
顔を顰めていて
あげはが反論をするよりも先に
更に言葉を続けて来る
「俺が推測するに、君が見ていたのは
不特定多数の誰かの記憶の欠片だ。
何故それが、竈門少年のその型を
鏡の目で映す事で見えたのかは
俺にもその辺りの事は分からんが…」