第42章 その瞳に映る物
杏寿郎があげはに
事の仔細を確認しようとするのを
蜜璃が遮って
ガバッとその身体に抱きついて来て
「ごめんね、蜜璃ちゃん。心配させちゃって。
もう、大丈夫、大丈夫だから。苦しぃ…からっ
そんなに抱きつかれたら、折れちゃうっ。
新しい場所まで、肋骨折れちゃうから!」
「あげはちゃーん、良かったぁ~」
「甘露寺さん、落ち着いて。
あげはさんが苦しがってるってば!
甘露寺さんの力で抱きしめたら、
あげはさん潰れちゃうから!」
善逸があげはの身体から蜜璃を
引き剥がそうとするも凄い力で
張り付いていて剥がれそうにない
「お前っ、乳出し女!!
いい加減にしやがれ。あげるがまた、
気ぃ失っちまうだろーがよ!」
「そうだわ!目は?目は見えてるの??
血が出てたみたいだったんだけど、
何とも無さそうなの?」
今度は蜜璃があげはの両頬を押さえて
あげはの左目をジッと鼻が
掠めそうな距離で注視して来て
「目?目は何ともないけど…?」
「うわああああん、良かったぁ~。
だってぇ、だって、心配だったんだもーーん」
「もう、落ち着いたから、大丈夫だからね。
ごめんね、蜜璃ちゃん、心配かけて」
「あげは。
君は気を失っている間、何を見て来た?」
杏寿郎がそう静かに
あげはに問いかけて来て
あげはがビクリと肩を
ビクッとびくつかせた
ちらっとあげはが杏寿郎の方へ視線を向けると
睨む様な 余計な事をするなと言いたげな
鋭い視線を杏寿郎が
こちらへ向けて来ているのが見えて
そのまま その視線を見ているのが
居た堪れなくなってしまって
あげはが掛け布団に視線を向けて目を伏せると
「杏寿郎。私が先程
見ていた物は…糸口の一端にあります」
成程…
糸口の一端か… 上手い事を言うな
だが
それで済まさせるつもりも
こっちには端からないが
あくまで多くを語らず
あくまでも 濁すつもりか
そっちがそう来るのであれば
俺にも考えがある