第42章 その瞳に映る物
「あげは…?」
瞼を閉じたままの彼女に
杏寿郎がそう恐る恐る呼び掛けた
杏寿郎が履物を履いたままである事に
気が付いた蜜璃が声を上げる
「ああっ。あのっ、煉獄さんっ。
煉獄さん!いけないわ、
草履、履いたままだわ。
あげはちゃんが心配なのは、
分かりますけど。
あげはちゃんなら大丈夫ですから、
草履を脱いで来て下さい。見てますからッ」
そう蜜璃が言って来て
笑顔をこちらに向けて来る
その言葉に冷静さを取り戻して
「ああ。甘露寺。すまない」
草履を履いたままなので
杏寿郎が膝をついて畳の上を移動し始めて
「ああっ、煉獄さん!ダメです、
先に草履をって、ああ!遅かったか…」
今度は杏寿郎のその行動を炭治郎が
止めようとしたが炭治郎が止めるよりも
杏寿郎が動く方が早かった
「足貸せ、俺が脱がしてやる。
ギョロギョロ目ん玉!伊之助様だからな。
お前があげるん事が
心配で仕方ねぇのは、分かったかんな!」
そう言って 畳の上を膝で移動する
杏寿郎が履いたままにしてた草履を
伊之助が杏寿郎の足を持って脱がせると
その行動を真似する様に反対側の草履を
善逸が脱がせて来て
「ホント、煉獄さんって
あげはさんが絡むと、
人が変わっちゃうんだからさ。お熱いのは
結構だけど、ちょっとは落ち着いて欲しいよ。
こっちとしては、いい迷惑なんですけど?」
「すまないな、恩に着る。嘴平少年、我妻少年」
「あら?それは違うんじゃないかしら?
善逸君。さっき、私の所に
あげはちゃんが倒れたって
言いに来てくれた時、善逸君も
慌てて履物履いたままだったわよね?」
蜜璃に先程の行動を
善逸が指摘されてしまって
ギクッと善逸が肩を縮めた
「わぁあああっ、もう、言わないでよ。
甘露寺さん、酷いじゃないの!
恥ずかしいじゃないのさ!あの時は
俺だって、必死だったんだからね?」
善逸が照れくさそうに顔を
真っ赤にしながら慌てた様子でそう言った
「我妻少年…も、俺の事は言えん様だな」
でも正直 助かった
俺が取り乱してる分皆が冷静で居てくれて
お陰で俺も 少し落ち着けそうだからな