第42章 その瞳に映る物
ヒノカミ神楽について…何か分かるかも知れない
正座をしたまま
膝に当てていた手で
炭治郎が自分の隊服を握りしめた
煉獄さんのお父さんが
何かを知っているかも知れないのか
「はい!俺、煉獄さんのお父さんと
先代の炎柱さんと話をしてみたいです!」
杏寿郎が用事を済ませ屋敷に戻ると
何やら屋敷の中が騒がしい
春日が俺の帰りを玄関の前で待っていて
「炎柱様っ!!」
俺の姿を見るなり
俺の方へ駆け寄って来て
「春日、どうした?何かあったのか?」
「炎柱様!!
一大事にあります!鏡柱様がッ
あげは様が…ッ…うっ」
挨拶より先にあげはの事を
必死な様子で訴えかけて来て
杏寿郎の顔を見て緊張が解けたのか
その目には涙を潤ませていて
その春日の様子から
あげはの身に何かがあったのは
杏寿郎にも理解が出来たが
ドサッ…
持っていた 和菓子の入った袋をその場に捨てて
「あげはっ、どこだ?」
そのまま屋敷の中へ杏寿郎が飛び込んだ
人の気配が集まってるのは
広間の方か…
竈門少年達と甘露寺の気配
それから あげはの気配がするが
驚く程に弱弱しく感じ取って
「あげは!!何があった?大丈夫か?」
ガラッと勢い良く襖を開いて
杏寿郎が慌てた様子で入って来ると
広間の中央には布団が敷かれていて
その布団の上にはあげはが居たのだが
今にも消え入りそうな気配しか感じ取れず
一気に不安が胸を占めるのを感じた
慌てて履物を履いたままになって居たのも
忘れてそのまま来てしまって居て
布団の上に横になって居る
あげはの元へ駆け寄ろうとする
怖いと思ってしまった
一瞬 あの時の様に
あげはが 自分の前から突然として
居なくなってしまうんじゃないかと…
あの日の 母上が亡くなった日の記憶に
今 俺の目に映っている光景が重なる
ドクンドクンと胸が騒がしい
自分の心臓の鼓動の音が耳に付くのに
その音すらが騒がしいのに
気持ちが悪いぐらいに
しんと静まり返っているのだ