第42章 その瞳に映る物
ー「道は…ひとつではない、
辿り着くのは同じ場所なのだから…」ー
『……ーーーさんっ』
『…あげはさんっ』
遠くで炭治郎君達が呼んでる声がする
でも ここはお日様に照らされていて
ぽかぽかとして心地良くて
ずーっとここに居たいぐらいだな…
ぼんやりとした意識で
あげはは 辿り着く場所について考えていた
幾つもの道の先は
どこに繋がってるんだろう?
辿り着く…場所は どんな所なのだろうか?
「でも…、あげはちゃんは、
辿り着いちゃダメ。あげはちゃんに
辿り着いて欲しい場所は…
ここなんかじゃないのよ」
この声はカナエちゃんに…似てるな…
あれ?さっきの人の声…は もう聞こえない
どうして そんな事を言うんだろう?
さっき 目を通して見えた
いつかの誰かの記憶
あの全てが
透き通る様な 透明な世界…
あそこが 辿りつくべき 場所じゃないの?
でも 今の声は 辿り着いちゃダメだって言う
どうして?
あの場所に辿り着けたらもっと…
私はもっと 上に…行けるのに??
辿り着いてはダメだと言われてしまって
「……ーーには、…て、欲しい…から」
何?何を言ったの?別の人の声…だ
どうして欲しいって言ったの?
聞こえないよ
フッと目を誰かに後ろから
手で塞がれてしまって
顔にその手の温もりを感じる
白い世界から 黒い世界へと変わる
その背後に感じた気配
春の日向の様な 暖かで穏やかな気配は
私が 良く知っている気配だった
その人の名を呼ぼうとして
上手く口が動かせないでいた
「ダメだよ。見ちゃダメ…、
後ろも、それからそこに有るものも。
君は気付いちゃダメだよ、あげはちゃん」
私が求めようとする何かを
気付いてはいけないと
そうしてはダメだと 二人は言っていて
その理由は…
二人が私にそうさせたくない 理由は…
私に…っ 私に