第42章 その瞳に映る物
あげはが中庭に辿り着くと
まだ善逸は木陰で
ダラダラとして休憩して居て
伊之助は既に炭治郎と稽古を再開していた
あげはが中庭に来た事に
伊之助と手合わせをしていた
炭治郎が気付いて
タタタタッと小走りで
私の前まで移動して来た
「あげはさん。もう、
ご用事は済まれましたか?
でしたら、稽古を再開されますか?」
「うん。そのつもり。
でもどうしようかな?地稽古は
してくれてたみたいだったし。
今日は蜜璃ちゃんが、
三人を見てくれてた様だったから。
今日は後は、軽く
流すぐらいでもいいかなぁって。
私は、継子が
居たのは一時期だけだったし。
ひとりだったから…っと」
つい炭治郎に対して
誰も知らない話を話してしまって居て
彼の気の置けない雰囲気が
知らず知らずの内に
口を軽くしてしまっている様だった
「あげはさんに、継
子が…居たんですか!初耳です。
俺、知りませんでした!
その方は今はどうされてますか?
俺、会って
お話をしてみたいです、その方と」
私に継子が居た事が意外だったようで
炭治郎が興味津々に尋ねて来て
「今、その人がどうしてるかって?
今も、鬼殺隊にいるし、
炭治郎君も、知ってる人だよ。
私の継子だった人。
今は…、水柱してるかな」
あげはのその言葉に
炭治郎の顔がぱあああっと明るくなる
「冨岡さんですね!
冨岡さんが。
あげはさんの継子だったんですね。
俺、知りませんでした。
あれ、でも俺…前に…冨岡さんは」
「ねぇ、その冨岡さんって
水柱の人ってさ。あげはさんの、
元婚約者の人の継子だったって俺、
煉獄さんから聞いたんだけど?」
聞いていた話と違うと
今度は会話に善逸が入って来て言った
「義勇が、私の継子だったのは
ちょっと間だけだよ?彼が、
透真さんが行方不明になった後に、
義勇が水柱になるまでの間だけ。
でも、私も、正式な継子の契約は
してないけど。実質は、透真さんの
弟子みたいなものだったから。
そう言う意味だったら、
義勇とは姉弟弟子だけどね」