第41章 羊羹と羽織
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一方
その千寿郎に甘いあげはのいる
炎屋敷では
「くしゅんっ。
ううっ、何だろ?
体調は異常ないんだけどなぁ…」
くしゃみが出て
むずむずと落ち着かない
鼻の下の所をあげはが押さえながら
炭治郎達の居る中庭へと向かった
そろそろ休憩も終わってもいい頃だろうし
炭治郎君達を放たらかしにしてたら
それこそ…
返って来た杏寿郎にバレて
その間に私が何をしてたのかって
逆に怪しまれても困るし…って
「それは、お互い様…か」
杏寿郎が私の目を誤魔化して
蜜璃ちゃんを巻き込んでまで
こそこそと柄にでもない様な事をして
内緒にして何かをしてるのに
いやでも 内緒事はあったか
だからと言って
杏寿郎が留守にしてる今に
蜜璃ちゃんと春日さんが居る応接間に
私がのこのこと
行くわけにも行かないもんね
私としては本当は 春日さんに
振袖を引き振袖にする話の
細かい事とか自分の耳で
直接聞きたかったんだけどなぁ
きっと杏寿郎の事だから
春日さんにも無理を言ってそうだしなぁ
春日さんが 杏寿郎に
それが出来るんだよって
言ってくれてなかったら
私は あのカナエちゃんの振袖を
自分の披露宴で着ようって
そう思う事なんて無かっただろうし
やっぱり 杏寿郎は不思議だ
今まで 着たいって着ようって
思う勇気すらも私にはなかったのに
今は どうして もっと
早くに着ようって思わなかったんだろうって
着なかったんだろうて
考えてる事 その物までもが
今までと
まるで正反対になっていて
今は 着たいと言う気持ちが胸を占めていた
杏寿郎に出会ってから
少しずつ 私は変わっていたんだ
彼と恋仲になって
その変化は目まぐるしい程の速さで
私を 変えて行く…
諦めてた事を 望む様になった
見えて居なかった物が 見える様になった