第41章 羊羹と羽織
「そうなれば、父上!
僕に姪っ子か甥っ子が出来ると
言う事ですね!!はぁ~、楽しみだなぁ。
きっと、さぞかし
可愛らしい事にありましょうね」
そうキラキラと目を輝かせて
千寿郎が言って来たので
槇寿郎の方もこれは敵わないと思ってしまった
子供が出来ると言えば
当然
その前には 夫婦の営みがあると言う事を
暗に示唆をしたかったのだが
純粋な千寿郎には
槇寿郎のそんな意図は伝わらないでいて
この純粋な息子の事だ
今度家に帰って来た杏寿郎とあげはに
子供はいつ頃になりますか?とかと
目を輝かせて聞いて居そうで怖いな…
そうならないといいが…と
槇寿郎は思いながら千寿郎の方を見た
「あの、父上」
「何だ?千寿郎」
「先ほど、父上が袴を虫干しされているのを
見たのですが、その…、お着物を
ご一緒に虫干しされておられましたよね?」
「見つかってしまったか…、千寿郎。
お前の考えている通りだと、言えばいいか?
だが、俺がそうであれ、どうであれ。
問題は、アイツがあれを素直に
受け取ってくれるかだがな。
千寿郎、協力してくれるか?
あげはにアレを、受け取らせるのを」
槇寿郎から協力をして欲しいと
そう申し入れられてしまって
キョトンと千寿郎は
しばらく目を丸くさせていたが
槇寿郎の言葉の意味を知ってハッとすると
ぐっと自分の両手で拳を作り
「はい、勿論にあります。父上。
微力ながらに、この千寿郎。
父上のそのお考えに、
ご助力をさせて頂きたくあります!」
ふっと槇寿郎が笑顔になって
「千寿郎。お前がそう言ってくれると
頼もしい限りだな。
いや、お前からそうして欲しいと言えば、
あげはは首を縦に振るだろうからな。
何だかんだ言って、
あげははお前に甘そうだからな」
「は?姉上が…、
僕に甘い…にありますか??」
槇寿郎の言葉の意味が
分からないと言いたげに千寿郎が
首を肩に付きそうな程に傾けた