第41章 羊羹と羽織
俺はその
透真の言葉を受け入れられなかった
才能がなんだ あったからどうだ?
炎柱が途切れる?そんな事はどうでもいい
どうせ 無駄な事なんだ全て
炎の呼吸を極めても何にもならない
どの呼吸を極めた所で
その 全てが無駄な事
日の呼吸には 始まりの呼吸には追いつけない
だが… アイツは違っていた
アイツの目 あの時俺に向けていた目だ
俺の見ている場所の 更に先を見ていた
俺がその現実に打ちひしがれて
現実から全てから目を逸らせて
逃げ出そうとしていた時に
既に アイツには 見えていたんだ…
俺が見ていた その先にある真実を
アイツは見ていたんだ… 三上透真は
『槇寿郎さんは、
どうして…その道に拘るんです?
道は幾つだってあるし、
どうせ同じ所に辿り着くんだったら。
気にしなくたって、いいのにって。
うーん、でも、行先が一緒だったら、
順路なんて拘らないけどなぁ。僕は。
槇寿郎さんは真面目だなぁ。
初めから世界も、答えもそこにあるのに…。
ほとんどの人が、ずっと目を閉じたままだ』
にっこりといつもの笑顔を浮かべて
透真は俺に言って来た
『だから、道の在り方なんて
気にしなくたって、
良いと思いますけどもね?僕は』
だから…なのかも知れないな
アイツが持っている纏っていた
浮世離れしたような
人の先の何かにでも触れている様な
そんな 印象をアイツから受けていたのは
あの時の俺には
その道しか見えて居なかった
アイツの言う 道が幾つでもあるの意味が
理解できずに居た… あの時の俺が
透真の言葉を理解出来て居たら
今の俺は… 日輪刀を握りしめて
今も鬼と戦って居たのだろうか…
俺は随分と
遠回りをしてしまっていたんだな
答えなんて初めから 在ったと言うのに
愚問…か
過ぎたるを悔やんだ所で過去は変わらん