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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第6章 無限列車にて 後編


「…傷を、つけてやろうと思って、
杏寿郎、…お前の目の前で」

一瞬 鬼の言葉に体中の血が
沸き上がりそうな感情を覚えるが
そうなる前に抑え込むと
鋭い視線を鬼に向けた

「悪趣味だぞ!…君は、
そんなに俺を怒らせたいのか?」

「傷つけられるだけ傷つけたら、殺す」

猗窩座の言葉はどこまでも冷たい
氷の様に

俺が我を忘れて
怒り狂う様でも見て楽しもうと言うのか…?
まぁ この鬼の事だ
そうなっている俺と戦いたいとか
そんな事なんだろうが…

そんな事の為に彼女を
傷つけてもらっては困る
どちらにしろ この猗窩座とか言う鬼と
彼女は会わせたくはない…な

「なら…尚更。彼女を君に
引き合わせる訳には……、行くまい」

ーーーーー

一方 その当の彼女の方はと言うと

「禰󠄀豆子ちゃん。こっちに来て、
ここに正座してくれる?」
禰󠄀豆子に自分のすぐ隣に
来るように呼び寄せると
禰󠄀豆子に正座をして座るように促した
「そうそう、そのままね」
善逸の背中に右手を差しれて
背中の中央を支える様に
自分の腕全体を使って支持すると 
善逸の上半身を そぉーっと
少しだけ持ち上げて
その頭を 禰󠄀豆子の膝の上に乗せる

禰󠄀豆子は悲しそうな
それでいて心配そうな表情をして
依然として意識の戻らない
善逸の顔をそっと撫でていた

少しでも これで出血が
収まってくれたら…いいんだけど
…早く ここから先へ
行かなくちゃ… でも
この状態の善逸君を置いて
放って行くわけにも行かないし

気持ちばかりが 
先々へと逸ってしまって
どうにも落ち着いて居られない

あげはの手の下のガーゼは
じわじわと赤く染まって行くが
その勢いが弱まって来ているのを感じた

「いい感じ、止血して…きてる」
出血の量こそそれなりに多いが
善逸の顔色は良くて
心配には及ばないだろう…
血の気多そうだしな善逸君

グッと圧迫する手に力を込める
このまま 止まって…お願いっ!

ひたっ ひんやりとした手が
あげはの頬に触れた
禰󠄀豆子の手だ
そしてその手をあげはの頭に伸ばすと
よしよしとあげはの頭を撫でた
まるで 小さな子供を
落ち着かせようとしているみたいに


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