第41章 羊羹と羽織
「炎柱様も、あまり必要以上に
多くは語られませんので。
そのお心の内の内に、
秘めたるものに関しましては。
あくまで、私個人の
見解での話にはなりますが。それでも?」
「ええ。お願いします」
あげはの言葉に工藤は
何から話そうかと少し言葉を
選んでいる様だった
しばしの沈黙の後に
工藤が口を開いた
「まずは、お話する前にご質問を…。
…我々は次の満月に全員いとまを
出されております、これの詳細は
一切我々は聞き及んでおりませんが。
炎柱様の一連の行動の
全てがこれに関連していると
私は見ておりますが、こちらについては、
正解にありますでしょうか?」
工藤の口から次の満月と言う
言葉が出て来て
杏寿郎が炎屋敷の使用人全員に
いとまを出していると知った
あげはがその問いに頷く
「やはり…、そうにありましたか。
私が、炎柱様から賜っている
幾つかの要望に関しても、
この日までにを
期限とする物が多く御座いまして。
お二方に取って、
次の満月の夜は、重要な日と
私の方も認識しておりますが。
恐らくに、その日に関する事で
炎柱様はどうしても、
結納だけでもお済ませに
なられたいとのご意向にありましたが」
工藤さんの話によると
まだ私の知らない所で杏寿郎は
工藤さんに結納や結婚式に関わる事以外でも
何かを依頼している様だった
「それに、貴方様はあまり動揺を
お顔に出されない方にあられますが。
私が、次の満月と言葉に出した途端に
そのお顔に動揺が現れた。
炎柱様は…貴方様に、
心理的な負担をおかけしたくないと
お考えの元で、そうされたのではないかと」
杏寿郎は次の満月までに
結納を済ませたい
出来るならば
式その物も済ませたかったと言っていた
理由は分かってる
次の満月は 運命の日になるからだ
全てに 文字通りの決着をつける日