第41章 羊羹と羽織
「そうだったのね。
工藤さんも…、でも嬉しいわ。
あげはちゃんと煉獄さんが
いよいよ、結婚するだなんて、
夢みたいだわ。まるで、
自分の事みたいに感じるもの~」
「工藤も、蜜璃様と同じ
…気持ちにありましょう…ね」
ため息交じりに春日が言うと
呆れつつも嬉しそうに
春日が廊下を歩いて行く
杏寿郎と工藤の後姿を見送る
廊下を足早に移動しながらも
杏寿郎が工藤と話をする
「工藤、早速で悪いが。本題に入ろう。
急遽で悪いが、結納の店を変更したい。
場所は…渋谷の辺りだ、
もうあっちには話を付けてある」
「それは、早速にありますね。
それも、もうお話までお付けになられて。
ああ、その件で大和の方へ
今からお向かいに?
しかしながら、炎柱様。
今になって突然に
場所を変更なさるなど…、もう
先方各所にも連絡は済んでおりますよ?」
「胡蝶を始めとする、出席者には
俺が文を出す。あげはに言われたからな。
あまり工藤ばかりを、頼り過ぎるなとな」
今まででありましたら
炎柱様は ご自身の
ご希望をある程度まで固めた物を伝えて来て
後の事は 私に任せる事が多くあられたが…
今回はすでに
先方への話も自らお付けになられて
それも既に予約を済ませて居る
大和の方へも
自らが出向いてお断りを入れに行くと
仰っておられるのだから
これほどまでに 鏡柱様の
あげは様のお言葉は
炎柱様の行動に 影響を及ぼすのか…
そう工藤が感心しながらも
杏寿郎の言葉に耳を傾けていて
小さく何かに納得するかのように頷くと
自分の意見を述べ始めた
「御僭越ながらに、
その様な次第にあられましたのなら。
尚の事、それもこれも、
貴方様、お一人でなさらずに、
鏡柱様とご分担されればよろしいかと」
じとっとした視線を杏寿郎が
工藤に向けて来て
その視線が五月蠅いとでも言っている様だった
「別に、場所の変更を、方々へ
知らせるにしてもたかだか知れている。
俺の実家からならむしろ、
近くなる位だからな。
俺の家は後回しでいい、
どうせ家には行く募りにしてるからな」