第41章 羊羹と羽織
急いで洗面所を後にして
あげはが杏寿郎の部屋に戻ると
文机に向かって
紙を広げ 三好に宛てた文をしたためる
普通に郵送して返事を待って居たら
明々後日には間に合わないし
ここは環にお世話になるしかないけど
環なら明日にはきっと
返事をもらって戻って来てくれるから
杏寿郎が三好さんと話してた話…
全部が全部聞き取れたって訳じゃない
ある程度の予想は出来るけど
多分杏寿郎の事だから もう既に
工藤さんに頼んで何かしてるかも
知れないし…
「杏寿郎には、工藤さんに
頼り過ぎだと言ったけど。
工藤さん色々し過ぎて、
過労で倒れないかしら?」
三好さんならこう言うの好きだから
良い感じに私にも情報もくれるだろうし
手紙を書く事と
それからもうひとつしたい事があったから
腕まくりをしてあげはが気合を入れる
「話が終わる前に、さっさと
済ませちゃわないとね、もう一つの方も」
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「工藤、春日、居るか?」
蜜璃を伴って屋敷を移動しながら
2人を杏寿郎が呼び寄せた
「はい、炎柱様。如何なさいましたか?」
「お呼びにありましょうか?炎柱様」
杏寿郎の声に工藤と春日が
すぐ目の前にやって来て
春日の顔を見て
蜜璃の顔がぱぁっと明るくなる
「春日さん!会いたかったわ~」
「甘露寺様、お久しぶりにございます」
そう春日が返して頭を下げた
「工藤。俺は今からちょっと、
大和に向かって来る」
「は、大和ににありますか?
それは何故にありますか?炎柱様」
今から大和へと向かうと言う
杏寿郎の言葉に工藤は
面食らっている様子で返した
「甘露寺、すまないが。
しばらく俺は、君と
話し込んでいる事にしておいて貰いたい。
あげはには内緒でしたい事があるのでな。
それから…。工藤、ちょっと話したい。
春日は甘露寺と世話話でもしといてくれ」