第40章 気持ちの跡
「伊之助っ!その呼び方は
甘露寺さんに失礼だろ?
改めろって何回言わせる気だ、
いい加減にしないか。伊之助」
炭治郎が伊之助の付けた
蜜璃のあだ名に対して改める様にと
釘を刺すと
当の伊之助の方は五月蠅いとでも
言いたげに自分の耳を指でほじって
「あん?紋次郎、
なんか、文句あるのかよ?
そのままんまじゃねぇかよ。
乳出してんだから、
乳出し女だろーがよ!
間違ってねぇだろうが!」
乳出し… まぁ確かに
言い得て妙ではあるんだけども
「いや~、あんな素晴らしい物
隠しちゃったら勿体ないよ?ね?ね?
あげはさんも、そう思うよね?
あ、でもあんな隊服があるんだったら、
あげはさんもアレ、着てみたら?
あげはさんは、スタイル抜群だし、
甘露寺さんに負けてないから、ソコも。
きっとすっごい似合いそうだけどなぁ~」
「善逸」
「何だよ、炭治郎。俺は
思ったままに言っただけじゃん。
炭治郎だって、列車の任務の時の
あげはさんのミニスカートの隊服姿
鼻の下伸ばして
見てたじゃんか、一緒でしょ?」
「俺を、善逸と一緒にするな!
鼻の下を伸ばしてたのは、
善逸だろうが!すいません、
あげはさん…、善逸がこんなんで。
後で俺から、ちゃんと善逸には
言い聞かせて置きますので…」
そう言って申し訳なさそうに
炭治郎が頭を下げて来て
「ううん、いいのよ。善逸君はいつも
こんなだしね。実は…なんだけどね。
持って…たりするんだ。アレと同じの」
そう言ってポリポリとあげはが
自分の頬を掻いていて
「あん?あげる、お前も
あの乳出し服持ってんのかよ」
「乳出しって服って、伊之助
その言い方止めてよ。隊服だからね?
あれでも。蜜璃ちゃんが、くれたの。
何でも、色を仕立てる時に
間違えちゃったらしくて、縫製係がね。
それで、着ないからって、体格が近いって
理由で譲ってくれたんだけどもさ。
流石にちょっと、私には…抵抗があってね」