第40章 気持ちの跡
伊之助の顔を見据えると
杏寿郎がうんうんと頷いた
「嘴平少年!
今の甘露寺の一撃。
吹き飛ばされはしたが、
良く反応して受け止めたな。
流石、嘴平少年だな。
素晴らしい!見事だ」
「ギョロギョロ目ん玉。
戻ってやがったのか!
んだよ、ざけんじゃねぇぞ。
見てんじゃねぇーよ、これぐらい
伊之助様には出来て当然だ!」
そう伊之助が不満そうに言いながらも
満更でもなさそうに杏寿郎に返して来て
ガシガシと杏寿郎の大きな手が
伊之助の頭を撫でて
「んな、気安く撫でてんじゃねぇ!
…やめろっ。ギョロギョロ目ん玉!
ほわほわしちまうだろーがよ!」
思わず伊之助がほわほわしてしまて
ぶんぶんと首を左右に振って
その周囲のほわほわを吹き飛ばした
杏寿郎が視線を蜜璃の方へ向けて
声を掛けた
「甘露寺!来ていたのだな!
すまないな、待たせてしまったか?
俺も、屋敷を留守にして居たからな」
「あ、ハイ。
煉獄さん!お邪魔してます。
それにあげはちゃんも!!
会いたかったわ~♪
いいんです、
突然お邪魔しちゃったのは
私の方ですから。あの~、
煉獄さん。私、突然来てしまって、
そのぉ、大丈夫だったかしら?
ああっ、そうそう。お留守の様でしたので、
代わりに私が、
3人の稽古を見てあげてました。
継子の皆には、昔、煉獄さんが
私にしてくれた、稽古をして貰てたんです」
明らかに炭治郎君達が
凄い疲労してるんだけど
蜜璃ちゃんはピンピンしてるし
一体どんな稽古してたんだろ?
あげはは内心そう思いながら
ボロボロになっている
炭治郎達と蜜璃を交互に見ていた
「そうか、出掛けていて入れ違いに
なってしまっていたようで、
すまなかったな。君の鴉にも、
無駄足を踏ませてしまったな。
そうか、君が竈門少年達の稽古を
付けてくれていて助かったぞ。甘露寺!」
「いえ、そんな。お礼だなんて…。
煉獄さんからお礼なんて、
言われちゃったら、照れちゃうわ」
「でも、私も、蜜璃ちゃんには
あの時まで会えないと思ってたから。
来てくれて嬉しい」