第40章 気持ちの跡
チリッとした痛みが首筋に走って
軽く歯を立てられる感覚を
同じ場所に数回感じて
彼が跡を残したのだと分かったが
歯を立てた上で 数回吸った位だ
かなり色濃く印を付けられしまって
居る事は確かで
彼が唇を離した後もそこに
鈍い微かな痛みを感じるのだから
後で鏡で確認するのが恐ろしくもあるし
数日残るやつ…だよな これ きっと
「君に口付けたいが、熱が入り過ぎて
しまいそうだったからな。また
立てなくなったと、
君から悔やまれそうだったからな」
私の鎖骨に舌を這わせて来て
「こっちにも、いいだろうか?」
「見えない様な…、場所になら…」
そう印を更に残したがる彼に告げると
「見える場所には…、望んだ所で
君からのお許しは得られまい?」
「そうなさったじゃないですか…、前に」
前にしっかりと外から見える場所に
彼が跡を残したのは
最近の話なのだから私だって憶えてる
「はて、そうだったか?
俺の記憶にはないが…、
そんな事もあっただろうか?
あげは。俺には記憶に無いが…」
「忘れて頂いては困りますっ」
「はは、そう怒るな、あげは。
なら、今度は忘れない様にしよう。
俺に、いい考えがある。こうすれば
俺も、君も忘れようもあるまい」
チュゥ…
左の鎖骨の下の辺りに
数回角度を変えつつ印を残されてしまって
同じ場所に何度も重ねて付けられたから
こっちの跡も濃そうではるけど
「後で、鏡を見てみるといい。
我ながら、いい出来だったからな」
そう言って満足そうに杏寿郎が笑って
そのままボタンと襟を戻された
我ながら いい出来と
杏寿郎が何について言ったのかを
あげはが知るのは後の事であった
ーーー
ーー
ー
「そのままぁ~!もう、100本追加ぁ!!」
中庭には蜜璃の声が響き渡っていた
「ひぇええええっ。
柱ってさ、みんなこうな訳?
煉獄さんもだけど、この人も、
可愛い顔して体力ヤバすぎじゃない?」