第40章 気持ちの跡
「それは、君の気が強すぎるからか?
だが、それは全て
君が俺と対等でありたいと。
俺と共に在りたいと、
俺の負担を減らしたいと思って
行動してくれている証だろう?」
杏寿郎のその言葉に
あげはが驚きを隠せない様に
目を丸くさせて瞬くと
今度はあげはが肩をすくめながら
ふぅーっとため息を漏らして
自分の前に居た杏寿郎の背中に
自分の額を押し当てて
後ろから彼の身体に自分の腕を回した
「そこまで、お分かりにありましたら。
杏寿郎の方が、
折れて下さればいいですのに。
杏寿郎は、意地悪過ぎにあります」
「いや、そんな事はないぞ?
あげは。どっこいどっこいだ。
似た者同士だろう?分かってて
こんな事を言う、俺は嫌いか?」
「き、嫌い…っではありませんけど」
「だったら…その君の口から、
俺の事が好きだとは、
言ってはくれないのか?あげは」
「からかっておいでなのですか?杏寿郎は」
「それは、心外だが?あげは。
俺はいつでも、
本気だと言っているだろう?」
冗談なのか本気なのか
分からない様な口調で杏寿郎が
そう言って ハハハハハと
大きな声で笑うから
変な意地を張っていたのが
バカバカしくなってしまって
「杏寿郎。そのままで聞いて頂いても?」
そうは後ろから言って来るが
身体に回してる彼女の手にギュと
力が込もるのが分かって
あげはの手の上に杏寿郎が手を重ねた
「ああ。話してくれ」
「その、このお話の件に
つきまして…なのでありますが。
杏寿郎のお言葉に、素直に甘えても?
構いません…でしょうか?杏寿郎。
その、…そうさせて、
頂きたくあるのですが。
貴方のお気持ちに甘えて、しまっても?」
彼女のその言葉に
自分の胸がザワザワと騒がしくなる
あそこまで折れないと
頑なすぎるまでに意思を示しておいて
ここに来て そう来るのか