第40章 気持ちの跡
ただ 求めるままに
そのまま お互いの舌と舌を絡めた
熱い口付けをしばし堪能すると
当然…足腰に来てしまって
がっくりと力が抜けてしまって
あげはの足腰の力が抜け
そのまま崩れそうになるのを
あげはの腰を杏寿郎が支えて
そのまま身体を壁際に押しやられて
知らず内に壁に預けていた身体を
それ以上落ちない様に引きあげられる
「すまないな。あげは、つい
熱が入り過ぎてしまっていたな。
腰に来てしまったか?」
そのまま 腰が砕けている所に
耳元で吐息混じりにそう問いかけて来て
そのまま 左の耳に口付けをひとつ
落とされると
ピクっと小さくあげはの身体が跳ねて
「…っんぅ゛、ぁん゛っ…」
小さな甘い声が半開きになったままの
その唇の間から漏れ出るのを
あげはが押し殺してくぐもらせる
その様を 杏寿郎が確認して
満足そうな笑みを浮かべると
「ここで君を…、
もっと…と、欲張ってしまえば。
それこそ君に、大きな声を
出させてしまいそうだからな。
今の所は…少々物足りなくもあるが。
これぐらいで我慢するとしよう」
名残を惜しみながら
唇を合わせるだけの口付けをして
ちゅぅとわざとらしく音を立てて
唇で唇を挟んで軽く吸い上げて来ると
そっとその唇をゆっくりと離して
あげはの身体を開放する
「さて、皆をあまり長らく
待たせ過ぎてもならんからな。
戻るか、あげは」
屋敷の中に入ろうとしていた杏寿郎が
あげはが
それに続いて来ない事に気が付いた
腰に来てるからかと思ったが
そうではない様で
何かを考え込んでいるのが
その表情から伺い知る事ができた
「あの、杏寿郎、いい感じのムードを
壊す様で悪いのですが。
この口付けで私は、
誤魔化されたりはしませんからね?
それで、なぁなぁにしたおつもりには
在られませんですよね?杏寿郎は。
私は、諸費用についてのお話に関しては
解決と合意に双方が至って
いなかったと記憶しておりますが?」
「なっ。憶えていたのか?あげは」
先程の俺の言葉に反論して来なかったから
誤魔化せたと思って居たが
誤魔化し切れてなかったか