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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第39章 気持ちと想いと願い



形の良い 小さめながらに 

ふっくらとしたあげはの唇には


ありがちな

深紅に近い差し方ではないが


あげはの持つ 

ふんわりとした柔和な雰囲気に

その淡く差された色味が映えていた


飾り気のない本来の美しさの中に

差された紅の色味の
そこはかとない色気が加わって

飾り気がある服装でもねぇが

持ち味の良さが際立ってるねィ


華美に飾り立てた美しさじゃねぇが

内側から滲み出る美しさじゃ

ありやせんかい…


こらぁ 驚いた


兄さんも大層な男前だが

その兄さんに愛されるの姉さんも 

大層ないい女じゃぁねぇかい



「あ、あの…杏寿郎?お話が少々
違っている様にありますが?ここには
ハンカチを買いに来たのではなくて、
昨日のあの巾着を買いに来たのでは?」

あげはがそう戸惑う様にして
自分の肘で杏寿郎を
つつきながらそう耳打ちをして来る

「間違ってはいないが?
君はあの巾着を買いに、
俺はハンカチを買いに来た。
うむ。一石二鳥だな!」

「ハンカチは戻れば幾らでも
手持ちがありますから…ッ。
結構にありますよ…杏寿郎」

「先ほど悲鳴嶼さんに
君のハンカチを貸しただろう?
そのままでは不便なのではないか?」

「いえ、ですが…。
後は戻るだけにありましょう?
無理に買って頂かずとも…」

杏寿郎が腕組みをしながら
ふぅっと息を漏らして

「俺がそうしたいと言っているのに、
相変わらず、君は強情だな…。
そこも俺は気に入っているが」


こらぁ どうでぇ


物腰は穏やかな別嬪さんだが

どうにもしっかりした芯のある

女さんの様じゃねぇかい


あの豪胆な兄さんに意見するたぁ

なかなかに姉さんもやるねぇ


その杏寿郎とあげはのやり取りを見ていて

この店の主人はそう感じていた


兄さんの方は豪快な買い物をするが

姉さんの方は財布の紐は堅そうだ


夫婦になるってぇなら 


いい組み合わせってモンじゃねぇかい


が こっちも商売だ

物を売ってナンボってもんでぇ




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