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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第6章 無限列車にて 後編


「鬼になろう、杏寿郎。そうすれば、
100年でも200年でも鍛錬し続けられる。
…強くなれる!」

媚びるような猫撫で声であるのに
その声はどこまでも
冷たい響きを含んでいて

この鬼の考えが読み切れない
その言葉に
それ以上の意味があるのか ないのか…
…本当にそう思っているだけなのか?


「善逸君!善逸君ってば!」
あげはが善逸の名前を
呼びかけながら肩を揺するも
黄色い少年こと善逸は 
意識を手放したままで反応がない

呼吸と脈拍に乱れはない
脈圧もしっかりしてるから
血圧も問題ないだろうけど…

頭部にある外傷からは
止めどなく出血している

本人に意識があるのなら 
呼吸の応用で止血させられるけど
当の本人に意識がないので
どうしようもない

そっと 傷の周囲を
軽く指で押すように触れる
大丈夫 頭蓋骨はなんともなさそうだ
持っていたガーゼを
束にまとめて持つと分厚く畳んで 
傷の上から押さえて圧迫止血を図る

折れていないのなら
力強く押さえてもなんら問題はない
じわじわと出血が
ガーゼに染みて上がってくる

「起きて!善逸君ってば!
起きてよ!善逸君っ!!」
呼んでも呼んでも 
反応はないままだ
分厚く畳んだガーゼの
上層近くまで出血が迫って来て
あげはは新しいガーゼの束を掴むと
血液が付いて汚染した
ガーゼを投げ捨てた

まずいな 
これだけ押さえてるのに
出血の勢いが収まらない
浅側頭動脈を損傷してるのかも…?

少しでも頭部を
心臓より高い所へやりたい所だけど
頭を打っている 
彼をあまり大きくは
動かさない方がいいだろう

何か…この出血を止める いい方法は?
周囲を見回してみると 
心配そうな面持ちでこちらを伺っていた
禰󠄀豆子の姿が見えた

自分を庇って善逸が負傷した事を
申し訳ないと気にしているのだろう
ちょいちょいっと
あげはが禰󠄀豆子に手招きをする

「禰󠄀豆子ちゃん。
お手伝い、してもらってもいい?」
あげはの言葉に
禰󠄀豆子はコクコクとうなづいて答えた
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