第39章 気持ちと想いと願い
「でも…やはり、私の
不確かな形に、輪郭を与えてくれて、
形を作ってくれたのは。間違いなく、
私が今まで出会って来た
その沢山の大切な、人達にあります……。
感謝の言葉では言い表せません…」
杏寿郎と居ると……
見えなかった物が見えて来る
逃げていた真実とも向き合える
スッとあげはが目を閉じて
自分の胸に手を当てる
「胡蝶や冨岡や宇髄……、不死川に甘露寺。
…それに竈門少年達、それから俺も。
俺達は、誰一人として、この戦いに
巻き込まれたとは思ってはいないだろう。
それぞれがそれぞれの想いで、
この戦いに挑みたい、臨みたいと
そう思って居る者達だ。だから
あげは、君は恐れるな!
自分の所為で、自分の
大切な人を危険に晒してしまうと
その不安と心配に囚われるな。
その恐怖に怯える事も、臆する必要もない」
「杏寿郎…、ですが…私は怖いのです。
何よりも、怖い。もし、この戦いで誰かが
傷つく事も、ましてや死ぬかも知れない事も…。
自分がどうなる事よりも、怖くて…ッ」
多くの人を自分の戦いに巻き込んでいる
自分の所為で迷惑を掛けていると言う
その罪悪感がずっと
彼女の中にあったのを俺は知っていた
彼女がそれに罪悪感を
抱いてしまう…
そしてそれを恐れてしまう その理由は
「あげは、恐れるな!君は優しい。
それも、優しすぎる程に優しいからだ。
だからそう思うんだ。だが…
それを恐れ遠慮しすぎるばかりに、
逃げていい物じゃない。君は信じろ!
君を信じてくれる人達を、君も信じるんだ!
君のその優しさを弱さにしてくれるな!
あげは。信じるんだ!
君は弱くない。君の強さは、俺が保証する。
だから、君が、君を信じられないのならば。
俺を信じろ!俺の言葉を信じるんだ!」
私を 信じてくれる人を
信じるようにと彼が私に言って来て
自分が信じられないのなら
俺を信じろと そう言って来てくれて