第39章 気持ちと想いと願い
あげはの脳裏に大切な人達の
顔が次々に浮かんでくる
「私の、大切な人達が…。
私の幸せ…を…、
望んでくれてる…の?」
「無論。俺も含めてだがな!」
大切な人達と 彼に言われただけなのに
これだけの 人数の大切な人達の顔が
私の中に浮かんで来て
これだけの 沢山の大切な人が要る…
そんな自分は
どれだけ 幸せなのだろうかと
そんな事を考えながら
ギュッと胸を押さえていた
手であげはが自分の服を掴んだ
「ああ、そうだ。
皆がそれを願ってくれているんだ。
さっきの三好さんだって
そうだっただろう?あの人もまた、
君を想って、君の幸せを
願ってくれている人の一人に過ぎん」
その杏寿郎の言葉に
さっきお店で
三好小母さんが見せた
杏寿郎を紹介した時の
あの嬉しそうな顔と
言われた言葉を思い出す
「杏寿郎…、私は…」
言葉を上手く紡げない私に
うん と杏寿郎が力強く頷いて見せて
そうだと 言ってくれていた
幸せになりたいて
望んでも願ってもいいんだよ…と
それを望んでくれてる人が
人達が居るんだよ…って
私に教えてくれていて
自分の幸せに対して
それにいつも遠慮してしまう
そんな 私を 彼は知っていて
それで こんな言葉をくれるのだから
やっぱり 私は杏寿郎には敵わない…なと
「私は、杏寿郎には敵いません…ね。
貴方には、気付かされることばかりです」
ずっとそこにあったのに
気が付かずに居た事を
彼はいつも 私に気付かせてくれる
やっぱり 杏寿郎には敵わない
以前の私なら
それに気付いても遠慮してただろうから