第38章 牛鍋とすき焼きと胸の外と内 後編
「君のその辺りの金銭感覚や
それに、経済観念に関しては。
俺は…安心して君に、自分の
財布を預けられそうではあるが。
金に関する、お願い…か。
いいだろう。何だ?言ってみるといい」
「お金の事にありますのなら、
私自身のそれなりの纏まった金額の、
貯金ならあります。
柱をしてた時からのと、
それに普通の甲の隊士よりも、
蝶屋敷での仕事の分を
余分に頂いておりますので。
ですから、
必要な経費の詳細を包み隠さずに
私に全て、お伝え頂けますでしょうか?
ドレスやら、白無垢の仕立てや引き出物に
至るまでのその全てにあります。
それの信憑性のある書類も添えて頂いて。
今の段階では見積にありましょうが……」
あげはの経済観念は
しっかりとしているし
使い方についても 有用性を知っている
自分の娯楽と言うよりは
誰かの笑顔の為にお金も
使いたいとそう思って居るタイプだろう
にしても しっかりし過ぎてるくらいな
物言いをされてしまったな
これは… 参ったな
あげは自身が
纏まった金額と言う位なのだから
彼女自身も相当な蓄えがありそうではあるが
「あ、あげは…?それを
君が知ってどうするつもりだ?
いや、君の性分は
知っているから大体分かるが。
諸費用について、
折半を申し出るつもりなのだろうが。
胡蝶から預かった分で大凡、
折半ならまかなえるぞ?」
折半にするならわざわざ貯金を崩さずとも
しのぶちゃんから預かった分で
十分だと 杏寿郎が言って来て
「いいえ。貴方の、
そのお言葉だけでは信用なりません!
杏寿郎の方が多く、
支払っている可能性を否めません。
ですから、詳細を明細の形でご提出
して頂きたくあるのですが?
完全に1円の単位まで折半致しましょう」
そういつにない
強い口調であげはが言うと
杏寿郎が今度はむっと顔を顰める