第6章 無限列車にて 後編
隠でもない…一般人を
混乱させずに…動かすとは
彼女が毅然とした
落ち着いた態度で行動してるからか
彼女を見て 乗客達も
取り乱す事なく行動できるのか…
胡蝶にはやはり礼をしなくてはな…
この場に彼女が居てくれて助かった
俺も俺のすべき事をせねばな!
杏寿郎も乗客の救助をしつつ
あげはの様子を見ていた
骨折をしている者に添木を当てたり
怪我をしてる者に止血をして回っていた
程なくして
鴉が集めて来た隠が数人集まって来る
隠が来たのなら安心だな
ここは彼女と隠に任せて
俺は…竈門少年達の様子を…
見に行くとしよう
「あげは!ここは君に任せる!
君はここで、怪我人の救護に当たってくれ。
俺は、竈門少年達の様子を見て来る!」
「かしこまりました。もし、
私が、必要な状況でしたら
すぐに知らせてもらえますか?」
「承知した」
まだ…呼吸や脈拍に問題はないが
意識が戻らない負傷者もいる
私の技で後方2両分の
乗客は無傷だったし
その前方2両分の
乗客の救出と初期の手当ても
粗方つきつつあるけど…
隠もまだ近くにいた先行部隊
人数が負傷者に比べて 明らかに少ない…
その前の車両の様子を見に行っていた
隠が慌てた様子で戻って来る
「あげは様!先程救出された方の
脈がありませんっ!」
その場を他の隠達に任せて
直ぐにそちらへと向かった
事態は急を要する
1分でも1秒でも早く蘇生を始めなくては
すでに 心臓マッサージを始めていた
隠達に合流すると心臓マッサージを交代する
「私の荷物、見つかった?」
「こちらに」
あの大きな風呂敷包みだ
持って来て正解だった
「中にあるもの、全部出して!交代っ!」
包みを開かせると
心臓マッサージを別の隠に交代させて
中に入っていた
簡易なモデルのAEDを取り出した
「カウンターするから、
前を開いて、離れて!」
隠に乗客の前を開かせると
パットを装着する
「無理でも、無理じゃなくても、
…搬送するから。受け入れ先は?」
「押さえてあります」
「数人抜けますが?」
「次が来るまで、私が看るから!
…この人を最優先で!
ここじゃこれ以上の事はできないから」
運良く 2回目の電気ショックで
心拍が回復し
安堵の息を皆で漏らした