第38章 牛鍋とすき焼きと胸の外と内 後編
「ああ。突然、何かと思えばその事か。
でないと、皆も都合が付かないだろう?
同じ日に一斉に、
留守にする訳にも行くまい。
何せ、鬼殺は休みなしだからな!」
そう言ってははははと杏寿郎が
豪快に笑い声をあげて笑った
「え、あの……もしかして、
その結婚式の日程って、
その3日のいずれか……でなくて」
「ああ。その事か、
俺の説明が悪かった様だな。
いずれかではなくていずれもだ」
目の前のあげはが目を見開いて
そのまま固まってしまっていて
その中のどれかじゃなくって
3日とも……って事?
いや 確かにそう彼は言ってたけど
「あげは?どうした?
俺はおかしなこと言ったか?」
「杏寿郎。結婚式は普通は3日も
するものではありませんよ?」
あげはの言葉を気にもしない様に
そのまま杏寿郎が歩き始めてしまって
「どうしてだ?してはいけないと言う
決まりもあるまい。鬼殺隊は
それぞれに先の予定が組めないだろう?
鬼はいつ出るか分からない、だが
俺は、皆に祝って貰いたい。
君とそうなるのに、それこそ…
皆にも色々と世話になったからな…」
そこまで言って
歩んでいた足を止めて
あげはの方へ振り返る
「ここまで聞いてもまだ、
君はそれは必要がない事だと
そう言うか?俺に。そう言うのなら
俺を納得させられるだけの理由を
君の口から聞きたい所だが?あげは」
そんな場所を3日も押さえて
かなりの金額の莫大なお金が……
掛かるのではないかと心配をしていたら
「あの…でも
そんな帝国ホテルなんて
それこそ、
かなりの金額の大金が……」
「今度は君は、金の心配か?
あげは、金の事だったら、
気にする必要はないが?
胡蝶から…ある物を預かっているぞ?」
「え?しのぶちゃんから…ですか?」
ある物を預かっている??
一体何を預かっているのだろうか?
「結婚資金だ」