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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第38章 牛鍋とすき焼きと胸の外と内 後編




「カナエ姉さんの…その想いを
願いを…ッ、無駄にしないで…下さい」


しのぶが涙を堪えながら
ふり絞る様にして綴った言葉が…

その しのぶの想いが


私の胸を締め付ける


自分の手に在るその振袖に


ポタッ ポタッ…と

自分の涙が落ちて


その しのぶちゃんの言葉はまるで


カナエちゃんの願いまで

無かった事にしてしまわないでと

カナエちゃんの想いまで

死んでしまった事にしてしまわないでと


訴えかけて来るかの様に響いた



グッとしのぶが俯いたままで
自分の拳を握りしめる


しのぶちゃんの望んでいる事は

分かったと思う…

その振袖に込められた カナエちゃんの想いを


私に 叶えて欲しいと 


そうしたいと思って居て 出来なかった事を

カナエちゃんの代りに… そうして欲しいと


それを 他の誰でもない 私に


して欲しいと そう願ってくれていた





ーーーー
ーーー
ーー



「しのぶちゃんが、…その話を杏寿郎に?」

「ああ。だから、あげは。
君には、その胡蝶の姉の振袖を着て、
結納に臨んでもらいたいのだが?
どうだろうか?」



しのぶにと仕立てた物は

そのまま しのぶちゃんが引き取って


カナエちゃんの分を

私にとしのぶちゃんが申し出て来て
そのまま引き取った…

時が来たら 

そのカナエちゃんの願い通りに


カナヲに渡そうと


そう考えていた振袖だ


今まで 一度も袖は通していない…振袖で


しのぶちゃんには 着て欲しいと

そう言われはしたものの…


いつ 着たらいいのかさえ わからなくて


着てしまっても 


いいのかさえも わからなくて



自分の成人式の際ですらも


着れず終いだった 振袖だ



恐れ多くて



ずっと 何かに対して


遠慮してしまったままになっていた


ずっと… そう ずっと



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