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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第37章 牛鍋とすき焼きと胸の外と内 前編



その三好の言葉に現実に引き戻される

「そうだな。それは申し訳なかった」

「そうそう。煉獄さんは
すき焼きは?食べた事あるのかい?」

そう三好が杏寿郎に問いかけて来て

「いや、俺が知っているすき焼きとは
ここのすき焼きは、些か違う様にあります」

その杏寿郎の言葉に三好が
満足そうに頷いて
すき焼き用の浅い鍋を火にかけた

「だったら、良かった…。
ほんまもんの、すき焼き…、
食べてきなよ」

「恐らく…にありますが。
今まですき焼きだと思って、
食べていたすき焼きとは、
ここのすき焼きは
別物ってくらいに、別格かと」

その自信満々な三好の言葉に
あげはがそう付け足して来て

随分と期待を煽って来るなと
杏寿郎は思わずには
居られなかったのだが

器用に三好が両方のすき焼き鍋に
牛脂を溶かして行くと

先程の極上の牛肉をその上で焼いて行く

ジュウウウッと
肉の脂の熱される匂いが
こちらにまで漂って来て


何をするのかと思って居たら
その焼き上がる肉の上に三好が

ザラザラとザラメを振りかけて行く

そのザラメの量が肉を隠すほどで

入れすぎなんじゃないかと

一瞬 杏寿郎は
ザラメまみれの牛肉を見て
不安になってしまったが

ジュワァと醤油とザラメが
溶けあい ふつふつと沸いて
そこに更に酒を加えて行くと

余分な物のない割り下の
食欲をそそられる匂いがして来る


部屋の外からカシャカシャと
何かをかき混ぜる音が
さっきからすると思って居たら

最初の肉が焼きあがるタイミングで
ふわふわに泡立てられた卵が運ばれて来て


「はいよ。最初の一枚は…お肉だけね」


そう三好がそれぞれの皿に
絶妙のタイミングで焼きあがって
割り下の絡んだ肉を給仕してくれる

「いただきます」

「そうだな。実に旨そうだ。頂くとしよう」

ちらっと隣にいる
あげはの方を垣間見ると


あげはの顔が…嬉々としているのが


その横顔からも
伺い知れたのだが




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