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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第37章 牛鍋とすき焼きと胸の外と内 前編



誰かを好きになる事

誰かと共にある事


誰かに愛されて そして愛する事


その全てから 目を逸らして逃げていた


それを望む事すら 諦めていた


恋愛その物に対して 消極的になっていた

ならざる得ない 状況にあった


そんな彼女の 理由 を知りながらに



俺を 否定する

俺を傷つけまいと 死なせまいと

しようとしている


頑ななまでに 健気な


その 彼女の想いを知りながらに…


俺は 彼女を 


…自分の物にしてしまいたいと

してしまおうとしていたのだから


してしまおうと していた…だけでなくて



彼女の目を 意識を俺に向けさせて

誰かを愛する事を恐れていた 彼女を


愛し尽くし切れない程までに


愛して


俺を愛させてしまっているのだから



それを今更

離せと言われて 離せる訳もない



愚門………だな



ふと 彼女の方を見ると
彼女と あげはと視線がぶつかって


あげはが顔を真っ赤に染め上げて
恥ずかしそうに俯いてしまった


年上でありながらに あげはの

こういう時の反応は

まるで奥手な少女の様で
可愛らしいと感じてしまうが


そんな潤んだ目をして
頬を染めて俺を睨んでも
俺を喜ばせるだけだと言うのに


ギュッとあげはが
杏寿郎の耳を掴んで引っ張ると


「もう…っ、杏寿郎さんも…ッ
それ位に…して下さい。
あまり…その。その様な
事ばかり言われてしまったら。私…は」


そう気恥ずかしそうに
言葉をたどたどしく紡ぐ様は

とてつもなく 
可愛らしい事この上なかった

人がすぐ そこに居るのに

可愛いと言ってしまいたくなって

杏寿郎がそれを押さえ込んで
喉元まで来ていた言葉を飲み込んだ


「もう、ご馳走様。お熱いのは
分かったからさ。おふたりさん。
二人の世界もいいが、
今は……折角、うちに来たんだ。
うちの自慢のすき焼きでも
食べようじゃないのさ」



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