第36章 罪と罪 後編
だがそれも 全ては
彼の首を斬ってみなければ
答えは分からん……な
「…………」
その首を断って
死するのは 彼なのか 彼なのか
はたまた 彼等…なのか……?
それを 知る事すらも 叶わないのか
「?、杏寿郎……?」
俺が黙り込んだままのを気にしてか
あげはがそう声を掛けて来て
彼女の顔を見た
どうかしたのかと言いたげな顔をして
あげはがこちらを見ていた
彼女がここに居るのが
鬼である彼が
水柱である彼を
完全に制御出来ていない…と言うのが
その答えだと考えるのが通りか…
もしそれが…
それが今よりもっと早く出来て居たのら?
そう考えるとゾッとする話ではある…な
もし そうであったなら
彼女はここには 居ないだろう
ともすれば 鬼になった 彼女に
己の刃を向けていた…可能性もあるのだから
そう考えると
恐ろしい…話でしかないのだが
だが……俺にも ひとつ
分かる事が ある… それは
「悲鳴嶼さん。
鬼である彼が求めるのは
あげはではあるが。
水柱である彼が求めるのもまた、
あげはだ。
俺達は、
水柱である貴方の親友である
三上透真の望みを…
叶えに行くつもりで居る!」
彼の望みを叶えに行くと
杏寿郎が力強く言って
「嗚呼…、なんと言う事だろう…か。
嗚呼…、なんと言えばいいのだろうか…。
言葉には言い表せん…、嗚呼…」
ジャラジャラと数珠を悲鳴嶼が
手の中でこすり合わせる
「柱ともありながら……、我が友に
私は、あの時、何もしてやれなかった。
そう、何一つとして、できなかったのだ。
苦しみの縁に居た、彼に……言葉ですらも。
気の利いた言葉のひとつですらも…、
掛けてやれもしなかった…。それも
全て…、私の罪にあり後悔にしか過ぎん」
その 悲鳴嶼さんの言葉からは
後悔と自責の念が溢れていて
聞いているこっちがその想いに
その苦しみに押しつぶされそうになる