第1章 序章
「胡蝶か、ハッハッハハハ。
これは、手厳しいな!…なら、俺は
今日の所は退散するとしよう!」
背中を向けた杏寿郎にしのぶが
睨むような視線を向けていた
杏寿郎が門から出たのを確認すると
「あげはさんはこのまま、
私と一緒に来て下さいねぇー」
顔はいつもの笑顔だが 声が低い
怒ってる時の声だ
むんず とあげはが逃げないように
看護服の袖を掴むと
自分の部屋まで連行するようにして連れて行く
「あ、あのー、しのぶちゃん?」
「ダメですよ。逃しません」
取ってつけたような笑顔が
滅茶苦茶怖い事 この上ない
バタン しのぶがあげはを引き連れて
自室へ戻ると 後手に鍵を落とした
何も ドアの前に立ち塞いだ上に
鍵までしなくてもいいんじゃ
私は 逃げたりしない
(いや、できない)のに…
「で、煉獄さんといつの間に求婚
されるような仲になってたんですか?」
しのぶの顔がすぐ目の前にあって
顔が近い
「…いや、なんか、大きく誤解
されてる気がするんだけど。
煉獄君は、私が柱を辞めてから
柱になってるし、怪我をしてここに
来ても、2〜3日でいつも帰るし。
その時だって私は任務で居なかったり、
するんだよ?そんな」
求婚をされるような
間柄じゃないのは事実だ
理由なんて 私も知らない…
私がむしろ彼に
教えてもらいたい位だ
「そうですよねぇ〜、
私もそれは知ってます。
でもなら、どうして煉獄さんは、
貴女に求婚なんてしたりするんです?」
「いや、だから、私がそれを
知ってる訳…ないし」
「あ、もしかして!」
しのぶが何か思い立ったように顔を上げた
「一目惚れ…でしょうか?」
「え?そんな理由なの?」
「以前甘露寺さんと、
甘味処へご一緒した際に、
たまたま煉獄さんと
お出会いした事がありまして」
しのぶの言葉にあげはは
その三人が一緒に
甘味処にいるのを想像してしまい
中々にすごい
取り合わせだなぁと考えつつ
「その時に、
恋愛の話題になったのですが」
ああ 蜜璃ちゃん好きだもんね
そう言う話 恋愛話 恋柱だけあって
「私はあまり興味がなかったので、
適当に合わせていたんですが」