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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第1章 序章


それから蝶屋敷へ
何度か訪れる事はあったが
俺が彼女と顔を合わせる事はなかった

それから程なくして
鎹鴉から胡蝶カナエが上弦の鬼に殺された
との知らせを受けた

カナエが亡くなった後の
しのぶの姿は見るに耐えないものだった
しのぶがカナエを模倣して 
姉のように振る舞う姿は

それ程までに 
しのぶに姉の死は大きかったと
知るに足りるものだった

きっと 隣でその姿を
目の当たりにするのは
彼女自身も言葉に出来ないほどに 
辛く悲しかったに…違いない

彼女からの返事を急かすことも
出来ないままに時は過ぎて
カナエの死から 1年が過ぎた

蝶屋敷の中庭には 
気持ちのいい風が吹き抜けていく
ハタハタとその風に 
皆で洗ったシーツが棚引いていた

幸いな事に 今は負傷者もおらず
落ち着いて溜まっていた
他の仕事ができる
この屋敷の主人である 
しのぶも町まで薬の買い付けに出ていた

風の揺らぎが 変わった
ー熱いー 熱を帯びた風になる
この…気配は
すみ きよ なほ の三人が
炎柱である その人物に正面の
玄関へ回るように促しているが
当の炎柱 本人は気に留める様子もなく
ズカズカと中庭へ入ってくる

「あれから、1年待ったが、
どうだろうか?」
1年と…と言われて
あげはが記憶を巡らせる
「あの、私の記憶が確かであるなら、
あの時は…」
頭に置いておくだけでいいと
言われたようにあったが
「して、考えてくれたのだろうか?」
「いや、…その、考えるとか以前に、
私は…、煉獄君の事が…」

ほとんど知らないに等しいのだ
求婚を受けるとか
受けないとか以前の問題だ

「俺は、来年、成人する!」
と言うことは
今彼は19歳と言う事になる
「俺が成人したら、君を正式に妻として
迎えたいと考えているんだが。
どうだろうか?」
「は?いや、あの…」

どうとかこうとかの問題じゃなくて
私 君の事 
何にも知らないんだけど?
そんなの 
どう返事をすれば いいのか

ひらりと1匹の蝶が
目の前を過ぎて行った

『私が、留守にしていれば何事ですか?
あげはさんは、ウチの大切な
人なんですよ?煉獄さんと言えど
おいそれとは 
差し上げる訳には行きません』

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