第36章 罪と罪 後編
唇を吸われて
その羽織を掴んでいた手に
ギュッと
力が思わず入ってしまっていて
ふっと杏寿郎が笑いながら
そっと羽織を握りしめたあげはの手に
自分の手を重ねて来る
「あげは。君は…本当に
いじらしくて、……可愛らしい…な。
手を…離すといい。
握るのは…羽織じゃなくて」
その手を羽織りから剝がされて
そのまま指を絡めて繋がれてしまって
ギュッと手を握り込まれる
僅かに開いていた
唇の隙間から舌が入り込んで来る
ヌルヌルと…
舌の表面を舌で舐められて行って
歯列をなぞられて
上顎の内側にも舌を這わされて
「んっ、ん、んっ゛…ふぁ」
そのまま 足に力が入らなくなって来て
その場にへたり込みそうになっていると
「立って、居られなさそうか?」
そう彼の声が耳元でして来て
そのまま左の首に舌を這わされる
ビクッと身体が跳ねてしまって
膝が震えるのを感じた
「あの、……杏寿郎…これ以上は……、
その、お手柔らかに…と言いますか。
その、ご容赦を…ッ、えっと…
お願いしたいのですがっ…」
「それは、声が
漏れてしまいそうだからか?」
物足りなさそうな風に
そう言って問いかけられてしまって
この位で 許して欲しいとは
強くこちら側としても
言い出しにくくなってしまっていると
「んっ、それに…これ以上されたら…、
立って居られなく…、
なってしまいます…のでッ」
「立って居られないのなら、
俺に身体を預けるといい……」
自分に身体を預ければいいと
そう杏寿郎に促されて
腰に手を回されて引き寄せられる
お互いの下腹部が当たって
ある事に気が付いてしまった
「え?あ……、あの杏寿郎?もしや…」
嫌な予感がして
腰を離そうとするも
しっかりとホールドされていて
その姿勢から動けない
身体を預けて支えるって
もしかして…そう言う意味っ…?
そのあげはの予感が
的中しているのを知らしめるかの様に
コツンと自分の膝に
杏寿郎の足が当たって
ぞくりと背筋が震えるのを感じた