第36章 罪と罪 後編
「いえ、それであっているのですよ。
そう人の目には
認識されているのですから。
人の目と言うのはですね、
色を反射で認識しているんです。
色の三原色と言う言葉はご存じですか?
この世の中に存在する全ての色が
赤・緑・青の
三色から成り立っているんです。
人の目は光として色を捉えていて、
その三色の光の割合を
脳で認識して見ているんです」
見ているのは目であると言うのに
それを判断しているのは
脳であると言う事らしい…
「後、…色の感じ方は
脳の構造、
目の構造に差はないのですが。
男女でその色彩の感じ方が異なると言う
話しもありますけども…。
例えば虹を見て、男性は7色
女性は29色に見えるとか…。
その理由については……、
ホルモンの働きが……」
そう色の見え方についての
説明をあげはが俺にしているのを
ぼんやりと聞いている時に
あげはの顔を見て ふと
ある事に気が付いた
「ん?あげは……、
もしやと思うのだが。
その、君の頭の蝶の飾りの色……
この蝶に準えてあるのか?」
この蝶と言うのは
今 周囲にいる アサギマダラの事で
「ええ。そうなんです。良くお気付きに
なりましたね。杏寿郎。
カナエちゃんが、選んでくれたのですが。
内側が水色で、外側の縁が紫を帯びた
濃いい灰色になってます。滅紫…に
近い様な色合いかも知れませんが……」
「なら、毒があるか?君には」
「もう、杏寿郎ったら。
アサギマダラの毒はこうして
人が触れる分には問題はありませんが。
その身体を食らえば毒性が現れますから」
そっと杏寿郎の手が
あげはの頬を撫でて
それから 頭の蝶の飾りに添えられる
「なら…、もう俺は……。
何度も君を食らったのだから……、
君のその毒に……
芯まで毒されている様だがな。
こうも…、収まりもつかずに
求めてしまって止まないのだから。
ある意味…、
中毒になっているのかもな?」
「また、
そんな…調子のいい事を言って…」