第35章 罪と罪 前編
「…あの、杏寿郎?」
「…あげは。…共に強くなろう…。
俺と、どこまでも…一緒に。強く。
そう、例えそれに、
一生を…費やしたとしても。
きっと、ひとりでは叶わないだろうが。
俺と君となら…、それも叶うかも知れん」
杏寿郎の手が
あげはの手を取って
ぎゅっと握られる
「君は俺に…、それを許してくれるか?
俺と、そうするとそれを望んでくれるか?
苦労が……多い道だとしても。
共に歩んでくれるだろうか、…俺と」
「はい。杏寿郎…勿論ですよ。
杏寿郎こそ、いいんですか?
私とじゃなかったら、こんな苦労も
ないと思いますけど?
杏寿郎の方こそ、後悔…なさったりは…」
そう言ってあげはが
その先の言葉を濁した
「それは、愚問だぞ?あげは……。
俺は君としか、添い遂げるつもりは
毛頭ないからな!あげは。
俺と共に生きてくれ!
それがどれだけ辛くとも、
俺が君を支えよう。
…生涯、支え続けようずっと」
杏寿郎の言葉に
あげはが首を左右に振る
「杏寿郎……、支えられるだけじゃ
ダメですよ。私にも支えられて下さい。
きっと、長い道のりになりますから……。
辛いのも、悲しいのも、苦しいのも……。
私は貴方と……、分かち合って。
行きたいし…、生きたい…と、
そう、思っていま…す、ので……」
「ああ。そうだな…あげは。
俺もそう…、思って居る…」
彼と 杏寿郎と共に
生きたい……と思う
そうしたい……と
望んで 願っている……
そうしたい……って
彼と 一緒だったら
きっと 貴方と一緒なら
きっと 今よりも ずっと
私は もっと
もっと 強くなれるから
どこまでも 強くなれる…貴方となら
憂いも
悲しみも
後悔も
苦しみも
苦悩も… 全部
乗り越えて……行ける気がした
彼と一緒なら
前へ 進んで行けるから
後悔の 先に…進んで行けるだろうから
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内容的には続きの流れなのですが。
長くなりますので、一旦区切ります。