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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第35章 罪と罪 前編


絶佳…

そんな言葉を 悲鳴嶼さんが

自分の鎹鴉に付けていたのか…


悲鳴嶼さんは 盲目…


視力を失ったのも
幼い折だったと聞き及んでいる


その瞼の裏にどこかの風景が

残っている訳ではない


なら 彼は… 悲鳴嶼さんは

その見た事もない


美しい景色を風景を…

その言葉の名を……

何故に 鴉に託したのか…と


そんな事も考えてしまいたくもあるが


「悲鳴嶼さんは、
急な用事が出来たので、
会う時間の方の
変更をして欲しいとの事の様ですね」

絶佳の足に括り付けられていた
その手紙を読んで
あげはがそう言った

「そうか、ならば仕方ないな。
悲鳴嶼さんは、柱の纏め役だからな。
普通の柱よりも多忙だ…。
今は俺も、任務に行けないままだし。
迷惑を掛けてしまって居るな」


「…そうですね。柱の…纏め役…」


あげはがそう漏らして
そのまま俯いてしまった


槇寿郎様が柱をなさっていた頃は

その役目は 槇寿郎様がなさっていた

その後は… 彼が…透真さんが

その役目を引き継いでいた……

行方不明になる……前までは……


あげはは黙り込んだまま
何かを考え込んでいる様で
そのあげはの顔を見ながら
杏寿郎も考えていた


年齢こそはあげはの方が

悲鳴嶼さんよりも年下ではあるが

場合によっては……

彼女が柱を続けていたのなら

今の悲鳴嶼さんの役目を

あげはが担っていた

と言う可能性もあるのか


「私の顔が、
どうか……なさいましたか?杏寿郎」


「いや、君の顔はいつも可愛らしいが。
確か、君の鎹鴉は環…と、言ったか…。
名前に由来でもあるのか…と思ってな」

そう考えていた事を
そのままでは言いだしにくく

咄嗟にそう言ってしまったのだが

悲鳴嶼さんの鴉の話をしていて

あげはの鎹鴉の環の事を
不意に思い出してしまったのは
何ら偽りではないのはないのだが…


あの真っ白の身体に

真っ赤な瞳の珍しい鴉だ

その見た目だけでも珍しいのに

その上に人語を話せない鴉


色んな意味で珍しい…鎹鴉だ






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