第35章 罪と罪 前編
実力はどれぐらいなのかと
私に確認したいのか
それとも 根を詰めすぎるなと
私を止めたいのか
はたまた その両方なのか……
「ご心配頂かずとも。
もう、新しい事を
取り入れようとはしませんよ。
後の日数は、既存の物をより
洗練して行こうと、
その様に考えておりますが?杏寿郎これで
杏寿郎の質問の、答えにはなりますか?」
「なら、計画通り……か?君は
自分の中で複数の課題を用意していて。
その予め自分に課した課題を、
この数日でこなしていたんじゃないのか?」
計画通りと言う
杏寿郎の言葉にあげはがピタッと
その足を止めてしまった
「確かに、杏寿郎の言葉の通りです。
まず先立っては、恋の呼吸の型の習得。
それから、鏡の細分化の方法の実践と、
その能率化。
それによって得られた鏡連と、その
鏡連の応用の型の選考と
最適化が課題でした。
鏡の細分化につきましては、
別の活用の副産物として生まれたのが、
鏡連ではありますが。
それを思いついた事で、
恋の呼吸が活かせますので」
「その裏で、肺を使用する範囲を
制限して……、
基礎訓練までしていたのか……」
「ああ!それにつきましては
…杏寿郎のお陰にありますが?」
杏寿郎のお陰だとあげはが言って
どういう事だと言いたげな
顔をして杏寿郎がこちらを見て来る
「私は、最初は肋骨の骨折に対しては。
普通にバストバンドを着けて
対応しておりましたので。
ですから…、その。刀鍛冶の里に
行った日からですね、ほとんどの時間を
その……、裸同然で過ごしておりましたので…」
カァッとあげはが頬を染めながら
そう杏寿郎に言って来て
刀鍛冶の里での過ごした時の
記憶が蘇って来る
裸同然…と言う
……彼女の言葉通りに
あそこで過ごした数日間の間
服を着る間すらも彼女に
ほとんど与えなかったのは
紛れもない 俺の仕業であり
俺の所為でもある……