第35章 罪と罪 前編
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『珍しいね…、透真。
君の方から…話があるなんて。
突然、どうしたのかな?透真』
部屋の中央で
向かい合って正座する
その日は彼の方から
私に重要な話があるとの
申し出があったのだ
『突然の申し出を、お聞き入れ
頂きまして、大変恐縮にあります。
本日は、お館様に
お願いがありまして。参りました…』
そう産屋敷に透真が挨拶をすると
そのまま畳の上で深く頭を下げた
鬼殺隊 水柱 三上透真
歴代の柱に必ず 常に水柱は居た
彼はその中でも
特に優れた剣技の才を持ち
鬼殺隊 最強の 水柱と
そう称されて居た
『それは、透真。
君の中に居るもう一人の君の事かな?』
一瞬 透真が目を見開くと
すぐに元の表情に戻ったが
顔を俯かせたままに言葉を発する
『やはり。私が話すまでもなく
ご存じ…であられましたか…』
『透真、君は…私の子だ。それは
何があっても…変わる事はないよ?透真。
例え、どんな事があっても……いいね?』
自分の膝の上に置いた拳を
ぎゅっと透真が握りしめる
その表情からも苦渋が読み取れた
『お館様。
先日…私に話された例のお話…、
私にはお受けしかねます…と。
お断りに上がりました。
私には無理な話にあります。
私の、この身体の事情では…、
お受できかねます。
お館様よりの申し出を、
お断りする挙句に……
自分の手前勝手な……お願いまで…ッ』
そのまま畳に両手をついて
透真が産屋敷に深く深く頭を下げた
額が畳に擦れるほどに深く
『申し訳……ございません…。お館様
数々のご無礼……、お許しを』
『透真。顔を…、上げて。
良く…見せてくれるかい?
君の顔を……、見せて貰えるかな?』
すでに 産屋敷の視力は
…かなり低下して来て居て
完全に光は失っては居ない物の
その顔を目で捉えるには
それこそ かなりの至近距離で
見なくてはならない程になっていた