第34章 彼からのお土産
「怒って貰えるなら、それでいいがな」
「……ーーっ!」
その杏寿郎の言葉を聞いて
彼のさっきまでの
言葉の意図が読み取れて
私の感情を表出させる為にわざと
彼がそう軽口ともいえる様な事を
言ってきたのだと
分かってしまったから
怒るべきなのか どうするべきなのか
わからなくなってしまって
あげはは言葉を詰まらせてしまった
「言ったろう?あげは。
俺を頼りにして欲しい…と。
君だけで抱え込む必要はない。
君には、俺がついているからな!
君は…、ひとりじゃないんだ。
俺が居る。もっと、俺を…
頼ると…いい。いや、違うな。
俺を…、頼れ!あげは。
俺は、君に頼りにされたいのだが?」
「……前にも…、杏寿郎は
私にそう言ってくれましたね。
私は、ひとりじゃないんだって。
あの列車の時も…、それに今だって…」
「君は変に強情で頑なだからな。
話せと言えば、
余計に黙り込んでしまうだろう?
俺は…、そんな君が俺に…、
そうやって頑なに見せようとせずに
隠してしまう
そんな部分を……許してくれるのを。
ずっと待っているんだが?あげは……」
「杏寿郎…ほど、包み隠さずに
全て……話せたらって、思いますけど。
それが、自然に出来る……それは
貴方の、いい所だって。
そう思っておりますが?」
いつの間にか
前に杏寿郎が回って来て
その赤い目で見つめられてしまった
「だが…あげは。俺は…もっと…、
強くなれるはずだ。今よりも…もっと。
君がそうしてくれるなら、強くなれる!
俺はそう、…思っているのだが。
どうだろうか?」
私が… 杏寿郎の事を
頼りにしたら
彼に支えになって貰ったら
杏寿郎は もっと…強くなれるのだと
そう 私に言って来て
「あげは。君を…、俺は守りたい…」
杏寿郎の言葉に
あげはがハッとして
顔を上げた 答えを求めるかの様にして
杏寿郎の顔を見る