第34章 彼からのお土産
「あ。あの…、杏寿郎?……その
おかしかった、で、しょうか……?」
そうこちらにあげはが
おずおずと伺う様に尋ねて来て
そのあげはの言葉に杏寿郎が
自分の拳をぐっと握りしめると
「おかしい訳ない!!
おかしい筈がある訳ないだろう?
あげは!そうか。ついに
その羽織りを着てくれたのだな!
それは元々君の物なのだから。
君も覚悟を決めてくれたと言う事なのだな?
あげは、いや……。
鬼殺隊、鏡柱。仁科 あげは」
「はい。杏寿郎が私にあれだけの、
確固たる覚悟を示して下さったであれば。
私もその覚悟に応じるだけの、
覚悟を示さねば。それこそ、
貴方に、杏寿郎に示しがつきませんから…」
そう言って
ふんわりとあげはが笑った
ふわりと突然身体が浮いたと思ったら
杏寿郎に横抱きにされて
そのまま 胴上げでもするかの様にして
腕の力だけで 持ち上げられて
その場でグルリと視界が回転したのが
杏寿郎がその体勢のままで
一回転したからだと 気が付いて
「あ、あの?きょ、杏寿郎?
危ないですってば、降ろして下さいッ!」
「それは無理な相談だと言う物だ!!
俺は、ずっとそれを着た君を
見たいと思って居たんだ。
これを喜ばずして、
どうしろと言うんだ?
こんなに、俺にとって
喜ばしい事はないだろう?あげは!」
自分の状況が
恥ずかしくなってしまって
あげはが自分の両手で
自分の顔を覆う様にして塞ぐと
小さな声で申し訳なさそうにして
「すいません。杏寿郎……。
もったいぶる様な事をしまして…。
大変、この体勢は
その…、恥ずかしくありますので。
降ろして……頂けませんでしょうか?」
「むっ。そうか、
はしゃぎすぎてしまった様だな。
面目ない。あげは……」
そう言って杏寿郎に
玄関の上り口の上に降ろされる
こうして 改めて
目の前に立って居る
あげはの姿を見ていると